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<記憶の素描(23)芥川賞作家・石沢麻依>投影された星巡り

 白い円蓋(えんがい)の下で、夜の訪れを待つ。壁から天井へとなだらかに続く白は、よく見れば小さな凹凸でかすかに波打っている。その曲面を目でなぞると、布地の光沢に惑わされ、遠近感を失ってゆくような気がした。やがて卵の殻の内を思わせる空間から、次第に明るさが失われる。白がしぼんで緩やかに灰色から青へと沈…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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