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<記憶の素描(30)芥川賞作家・石沢麻依>「長春香」の肖像写真

 透明な光に満ちた部屋を写した写真があった。かすかに青みを帯びた日差しが照らすそれは、アンドリュー・ワイエスの絵のように「時間」が留(とど)められている印象があった。部屋の中には、きちんと毛布を整えた寝台や書物の詰まった本棚、細い花瓶のある書き物机がそっと息づいている。この静謐(せいひつ)な室内風景…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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