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<記憶の素描(20)芥川賞作家・石沢麻依>彫像的な説得

 生成り色の壁、その高い位置にあるくぼみに、小さな白い聖母子像がひっそり佇(たたず)んでいる。白い石彫りの聖母は、幼子キリストを柔らかな手つきで抱き、人影のない通りを眺めていた。彫像の置かれた壁龕(へきがん)は2階と3階の間に穿(うが)たれ、窓から手を伸ばして簡単に触れることのできない場所にある。そ…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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