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<記憶の素描(29)芥川賞作家・石沢麻依>チェスの歯

 白と黒の升目の上を跳ね回る足がある。真っすぐに、あるいは斜めに滑ったり、そうかと思えば一マスずつ慎重に進んだりと、2人の少女が不思議な足さばきを披露していた。踊りの練習にも似たその様子を眺めるうちに、彼女たちの動きには一定のルールがあると気づく。2人の足が柔らかに踏む床には、白と黒のチェス盤のよう…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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