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(873)海とどまりわれら流れてゆきしかな/金子兜太(1919~2018年)

 無季の句です。眼前に海が広がり、波がゆっくりと打ち寄せてきます。形の定まらない海に「海とどまり」の表現は多少違和感があります。しかし、水が流れ続けて大海を巡るとしても、海そのものはいつでもそこにあり、全体が移動することはまれです。一方で、私という個は確かにここにありますが、さまざまな場所へと移ろい…

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 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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