(871)われもまたこぼれゆくもの四月の木/川口真理(1961年~)
「こぼれゆくもの」とは何だろうか。人の身体の約60%は水分でできているという。ならば、水は私であり、私は水だ、とも言えるのではないか。思えば、涙も「われ」からこぼれ落ちる水である。感情が込み上げて涙が流れるとき、「われ」の一部がこぼれているのだ。一方、思い切った措辞の「四月の木」もとてもみずみずし…
関連リンク
- ・(870)初蝶の既に命の重さかな/大関靖博(1948~)
- ・(869)かなしい日さくらとともに去って行く/川村旺己(2012年~)
- ・(868)チューリップ母の視線はまぶしくて/行方克巳(1944年~)
- ・(867)よく伸びる小犬のリード水温む/本杉純生(1943年~)
- ・(866)花見酒一気にひらく二枚貝/鈴木総史(1996年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。