(870)初蝶の既に命の重さかな/大関靖博(1948~)
春になり、初めて見かける蝶(ちょう)を初蝶(はつちょう)と呼びます。一斉に孵化(うか)した蝶が飛び回るのはもう少し後。春の先駆けです。幼虫の時も蛹(さなぎ)の時も蝶は生きていますから、常に命の重さがあることには違いません。しかし「胡蝶(こちょう)の夢」の故事があるように、ひらひらと飛ぶ蝶は人の魂の…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。