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<記憶の素描(13)芥川賞作家・石沢麻依>人形の居る街

 春になると、彩りの増えた街の中で、彼らが静かに姿を現し、その微笑が日差しに移ろうのを目にするだろう。教会や市役所の前で、石畳の敷き詰められた広場や淡い緑がこぼれる公園内で、緩やかに流れる川のそばで。カフェやレストランの屋外のテーブルに腰を下ろしたり、街角に佇(たたず)んで人や車の流れを見つめていた…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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