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「当たり屋グループに注意」文書出回る 出どころ不明でSNS拡散 鹿児島県警「不確か情報」

 当たり屋グループに注意して-。意図的に交通事故を起こし示談金を要求する“当たり屋”による被害が続出していると注意を呼びかける文書が拡散されているとの情報が「こちら373」に寄せられた。LINEやツイッターを通して文書の画像や内容が県内外で広がっているが、鹿児島県警は「県内で当たり屋グループによる被害は確認されていない」と否定する。(南日本新聞・出水柊、鹿島彩夏)

計33台の車両ナンバーを挙げて当たり屋に注意するよう呼びかける文書

33台の地域名や車両ナンバー列挙

 「緊急通報」と見出しが付けられた文書には、山口や大阪などから計84台が来たとして、計33台の具体的な地域名や車両ナンバーを列挙。車種や運転手の性別が明記されたものもある。ブレーキランプを出さずにサイドブレーキを引いて停車するといった当たり屋の手口や「運悪く当たった場合はこの資料を相手に見せる」などの注意事項、文書の拡散を呼びかける文言も書き入れられている。

 5月末、文書の画像データを友人からLINEで受け取った鹿児島県姶良市高齢者クラブ連合会の男性(83)は「注意するに越したことはない」と善意で同連合会の役員に転送し、情報共有した。送った後で、記載された車両ナンバーが古いことや情報源が記されていない点に違和感を覚えた。「被害が頻発した約30年前を知る人はつい信じてしまうと思う」と明かす。

 鹿児島県いちき串木野市の60代男性は知人から届いたLINE画像を見て、「誰かの役に立てば」と仕事仲間らに拡散。鹿屋市の40代男性は、兄からのLINEで当たり屋の情報を知り、すぐ知人に転送した。「不安な気持ちがよぎり、疑うことなく送ってしまった」と語る。所属組織名を加えて、ファクスで公的機関に送った団体もあった。

 ツイッター上では、他県でも同じ文書が拡散しているとの投稿が散見される。「運転に気をつけないと」「怖くて夜の外出をやめた」など文書を信用した人や「昔も同じような文書を見た」「根拠のないいたずら」と情報を疑う人などさまざまな意見が挙がっている。

 県警にも当たり屋グループに関する問い合わせが相次ぐ。県警交通指導課によると、現時点で県内において当たり屋グループによる交通事故の発生や届け出は確認されておらず、「警察が広報している情報ではない」と断言する。出どころは不明だが、記載された車両ナンバーは昭和時代のものとみられ、数十年前にも同様の情報拡散があったという。鮫島勝志理事官は「不確かな情報に惑わされず、安全運転に努めてほしい。事故に遭ったら当事者間で解決せず、必ず警察に届け出て」と訴えた。

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