処方箋の有効期間、なぜ4日? 知られざるルールに迫る
「処方箋の有効期間が発行日を含めて4日というのは、あまり知られていないのでは」。広島市安佐南区の看護師女性(54)から編集局に声が寄せられた。高齢の親が処方箋を期限切れで「紙切れ」にしてしまい、再発行してもらうために再び受診したという。話を聞くまで記者も知らなかった。なぜそんなルールになっているのだろう。(中国新聞・向井千夏)
発行日の3日後が期限
「受診日に薬を受け取る人が大半でしょうが、事情があったんです」。女性はそう前置きし、父親(91)のケースを話し始めた。
父親は安佐南区の内科を受診。いつもならすぐに薬局に寄るところ、4日後に中区の病院を受診する予定だったため、その際にまとめて薬をもらおうと考えたという。そして中区の病院を受診後に訪れた薬局で、前にもらった処方箋の期限切れが発覚した。発行日を含め「4日間有効」なので、発行日の3日後が期限だったのだ。
病状の変化を想定、3連休は注意
厚生労働省によると、4日間という有効期間は、同省の「保険医療機関及び保険医療養担当規則」で定められている。日がたつと患者の症状が変わり、医師の処方した薬が安全、有効でなくなる恐れがあるためだ。有効期間には土日祝日を含むため、3連休などでは特に要注意だ。例えば、きょう(7月14日、金曜)もらった処方箋は、3連休明けの18日(火曜)には無効となる。
女性によると、父親が受診した内科で有効期間について声かけはなく、A5判の処方箋に小さな文字で書いてあるだけだったという。記者も処方箋を初めてじっくり見た。有効期間を説明する文の1文字の大きさは2ミリに満たず、「高齢者はなおさら気付きにくいだろう」と感じた。
再発行は原則有料、再受診が必要なケースも
県薬剤師会の豊見雅文会長(73)は、期限切れの処方箋が持ち込まれるケースは「薬局によっては、毎日というところもあるのでは」と推測する。高血圧などの慢性疾患の患者は「手持ちの薬があるから、薬局に行くのはまたにしよう」と後回しにして期限切れにしてしまいがちだという。
厚労省も対策を講じてはいるようだ。ことし3月末、全国の行政相談センターに処方箋の使用期間に関する相談が寄せられているとし、有効期間について患者に周知するよう出先機関や各都道府県に事務連絡を出した。これを受け中国四国厚生局は、エリアの9県の医師会や薬剤師会を通じて病院などにその内容を伝えたという。だが、女性は「肝心の患者の元に情報が届いていない」と納得いかない様子だ。
処方箋の再発行にかかる費用は原則有料で、医師の判断によっては再受診が必要となる。女性は「処方箋を紙切れにしてしまった人は私の親だけではないはず。再受診で無駄な時間やお金を使わなくて済むよう、窓口での説明を徹底してほしい」と訴える。
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