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住宅街に放置された火災住宅…悪臭、倒壊や落下物の危険、周辺住民困惑 仙台

火災から5カ月たったが、割れた窓ガラスや伸びたままの雑草が放置されている=7月中旬、仙台市内

 「放置された火災住宅は撤去できないのか。焼け跡の臭いで気持ち悪くなる」との声が「読者とともに 特別報道室」に届いた。火災住宅の撤去は原則的に所有者や相続人に委ねるしかないが、費用が払えないなど経済的な理由で放置される例が少なくない。

高額な撤去費用も要因に 市、所有者らに助成制度周知

 現場は仙台市内の住宅街の一角。現場近くを歩くと焦げた臭いが鼻をつく。住宅の外壁は一部が黒く焦げ、窓ガラスは割れたまま。焼けた家財道具が庭に散乱し、雑草は隣の住宅の敷地を浸食していた。

 火災は2月に発生。木造2階の住宅が全焼し、住人の男性=当時(73)=が亡くなった。その後、住宅は放置され、空き家状態になっている。

 近くの70代男性は「焦げた臭いが家の中にいても分かる。室内の焼け跡が外から丸見えなので、ブルーシートで隠すなどの対策をしてほしい」と訴える。

 この住宅について市は放置が続いた場合、空き家対策特別措置法が定める「特定空き家」に該当する可能性があるとみている。倒壊などの危険や著しい景観阻害などの状態にある空き家が認定される。

 市は火災があった翌月から担当者が現場を毎月訪問し、倒壊や落下物の危険がないかを点検している。所有者か相続人が撤去しない場合は行政代執行の手続きもあるが、担当者は「市がすぐに撤去に乗り出すのは難しい」と慎重だ。

 相続人がいなければ市が事実上、撤去費用を肩代わりする形になり、他の空き家にも同様の対応が求められる恐れが生じるためだ。市が特措法に基づく行政代執行で建物を撤去したケースは、過去に2018年の1件しかない。幸い今回は市が男性の遺族と撤去の交渉を進め、前向きな回答を得ているという。

 市市民生活課によると、火災住宅が放置され空き家化したケースは現時点で、市内で8件確認されている。高橋仁課長は「撤去費用は平均200万円。被害に遭ったのが(家屋に加え)車や家具と増えれば、廃棄物処理で費用が増す。高額な費用が放置の要因の一つとして考えられる」と説明する。

 市では昨年度、特措法に基づき、特定空き家の撤去費用を最大50万円助成する制度を始めた。高橋課長は「制度を周知し、経済的な理由で残された空き家を減らしたい」と話す。
(高橋葵)

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