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JR愛子駅、お迎え渋滞で車びっしり 堅調な人口増も要因か、周辺住民困惑

愛子駅前の片側二車線道路。列車到着後は車が一斉に動きだし、ごった返す=5日午後7時30分ごろ

 「愛子駅前のロータリー周辺が渋滞し、車が通れず帰宅できない時がある」。JR仙山線愛子駅(仙台市青葉区)の周辺住民から「読者とともに 特別報道室」に困惑の声が寄せられた。愛子地区は堅調な人口増を背景に、マイカーによる駅乗降客の送迎渋滞が朝夕に慢性化する。道路管理者の仙台市は現状把握に乗り出す方針だ。

埋まる道路「雨の日は特にひどい」

 「午後7時前後になると、ロータリーへ通じる片側2車線道路の歩道側は迎えの車がびっしり。雨の日は車が増え、特にひどい」

 駅近くに住む団体職員の男性(63)が眉をひそめて教えてくれた。車で混み合うと、男性の家に続く道の曲がり角をふさぐように居座る車も少なくない。

 夕方に雨が降り始めた今月上旬、現場に向かった。路上停車が確かに多い。仙台発の下り列車が到着する午後6時50分、7時25分の前後は特に増え、歩道側はほぼ埋まった。

 ロータリー中央の緑地帯脇に止める車も現れ、後続の車は歩道側に寄せた車との間を縫うように徐行。動き出した車と衝突しそうになったのか、クラクションが響く場面もあった。

 別の男性(73)は「駅前のマンション駐車場に車を勝手に止め、家族を待つドライバーもいる。注意したら逆にすごまれた。後が怖いので言わないようにした」とため息をついた。

 一帯は停車禁止ではなく、最寄りの愛子交番は隣の駅のそばにある。ドライバーの一人は「運転席にいれば違法ではないはずだ」と答えた。

仙台市「まずは現状把握」

 住民によると、駅前での朝夕の混雑が顕在化したのは数年前からだ。愛子地区では近年、宅地開発が進み、市中心部と比べて地価が手頃なため、子育て世代などが定着。2009年に愛子小、15年に錦ケ丘小、19年に錦ケ丘中が相次いで開校した。

 東日本大震災後、駅の北西には災害公営住宅が整備されたほか、内陸への転居を希望し、分譲住宅に腰を落ち着けた被災者もいる。住民の急増が「お迎え渋滞」につながっている可能性がある。

 青葉区宮城総合支所は、駅をまたぐ歩道橋にエレベーターを設置する工事でロータリーの一部が使えず、停車スペースが減ったことも渋滞に拍車をかけているとみる。工事は来年度下半期まで続く見込みだ。

 支所道路課の担当者は「ロータリー周辺が送迎車で混雑しているのは事実。工事の早期完成が一番の改善策とは思うが、まずはロータリー周辺の現状を把握したい」と話す。

 仙台北署の古沢英幸副署長は「工事が始まってから混雑が起きていることは認知している。愛子交番からは3キロほど離れているが、署員は通常の巡回業務として愛子駅周辺もパトロールしている」と説明。「停車しているだけでは違反ではないので規制が難しい。今後は二重駐車など違反の取り締まりを強化し、混雑解消に努めたい」と理解を求めた。(桜田賢一、高橋葵)

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