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貸自転車「ダテバイク」思わぬ別途課金 ポート近くに駐輪、55分で「返却」扱いに

ダテバイクのポート。自転車がポートの5メートル圏内にある場合、ポートの発信器(左の白い機器)に反応する=仙台市青葉区

 仙台市中心部で利用できる有料貸自転車事業「DATE BIKE(ダテバイク)」への不満の声が「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。「借りた自転車を専用駐輪場(ポート)近くに止め、もう一度乗ろうとしたら別途課金された」という。取材を進めると、意図しない課金を招く「盲点」があることが分かった。

善意で設けたシステムがあだ、ユーザーへの周知も不十分

 相談主の男性(40)は5月末、青葉山公園を訪ねた際にダテバイクを利用。ポート近くの駐輪場に1時間弱止め、帰途でまた自転車に継続して乗ろうとしたところ、既に「返却」の処理がされていた。

 ダテバイクの利用には「月払い」と「都度払い」の二つの方法があり、男性の場合は後者。料金は1時間165円で、延長30分ごとに165円が課金される。

 男性は当初、目的地との往復料金を当初の1時間と延長30分の計330円と想定した。ところが、ポート近くに駐輪したため自動的に返却処理されてしまった。復路は自転車を新たに1時間分借り直す形となり、総額は495円となった。

 男性は過去にも何度か自動返却により、継続利用ができなかった経験がある。「大した金額ではないが、意図しない返却はユーザーに不利益。自分以外にも同じ不満を抱くユーザーは多いはずだ」と訴える。

 運営事業者のドコモ・バイクシェア(東京)によると、利用終了を意味する「返却」の手続きは基本的に(1)ポートで自転車に施錠(2)自転車の操作盤の「返却」か「エンター」を押す-の二つの動作で完了する。これらの操作がないと課金が続く。仮に操作し忘れて5時間放置すれば、請求額は1650円になる。

 過大な利用や請求を防ぐため、同社はポート近くに自転車が止められた場合、自動的に返却処理するシステムを取り入れている。ポートから出る電波を自転車が拾ってから55分後に作動するという。善意で設けたシステムのはずが、男性のケースではあだになった。

 「利用者の多くは自動返却の存在を知らない。周知が不十分だ」と男性は言う。実際、自動返却の説明はダテバイクのホームページに載っているが、見つけにくかった。

 同社は全国40超の地区でシェアサイクルを運営する。担当者は「自動返却に関する問い合わせは全国で月に数件ある。ユーザーが使うアプリを通じて注意喚起したい」と話す。

 継続利用を望むなら、ポートの近くに止めないのが肝要だ。同社によると、自転車の機器がポートの発信器に反応するのは約5メートル圏内のため、それ以上離して止めれば自動返却の可能性は下がる。一時駐輪を55分以内にするのも有効だろう。(池田隆平)

[メモ]ダテバイクは2013年3月に導入された。ポートは導入当初は12カ所だったが、今年3月時点で126カ所に増加。自転車も940台と導入当初の100台から大幅に増えた。昨年度の利用は延べ約101万2000回を数え、市民の暮らしに浸透している。

◆修正 自動返却の仕組みについて記事では当初、作動時間を「15分後」と表記していましたが、正しくは「55分後」であることが分かりました。

 取材時にドコモ・バイクシェアは「15分後」と回答していましたが、8月2日の記事公開後、「正しくは55分後だった」と修正。これを受けて見出し、記事、イラストを直しました。(2023年10月12日)

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