◎小さな発作判断材料に/てんかん科科長中里信和教授
東北大病院には2010年、全国初の「大学病院てんかん科」が誕生しました。たくさんの患者が、「てんかんかもしれない」とか「てんかんが治らない」という理由で紹介されて来ます。いつも診察しながら思うのは、患者も医師も「けいれん=てんかん」だと誤解していることが少なくない点です。
<だんだん強まる>
てんかん発作はクレッシェンド(音楽用語で「次第に強く」)です。てんかん発作の震源地は、最初は脳の一部に限られています。しかし、異常な興奮が神経回路網を数秒単位で急速に広がって、大きな発作に進展することがあります。クレッシェンドの最終、クライマックスで有名なのは「全身けいれん」と呼ばれる発作です。意識を失い、目を見開き、手足を硬直させ、全身をガクガク振るわせるタイプです。
「全身けいれん」に遭遇すると誰もが驚きます。ですから医師でさえ「全身けいれん」を目安に治療しがちなのです。しかし、これには注意が必要です。てんかん以外にも「全身けいれん」を起こす病気が何種類もあるので、てんかんとは早合点しないことがまず大切です。
次に、全身けいれんが「てんかん」による場合でも、治療法を選ぶには情報が不足しています。大きな発作の前に小さい症状がなかったどうか、小さい発作を普段から繰り返してはいないかどうか、などが診断の決め手となるのです。
<患者ごとに違い>
小さい発作には「不思議な感覚」の繰り返しがあります。本人しか気付きませんし、個人ごとにさまざまな発作症状がありますから、てんかんに詳しい専門医の診察が必要となることも少なくありません。また「動作を止めて動かず、呼び掛けても返事をしない」というタイプの発作は、本人は気付かず周囲の人だけが気付くもので、てんかん発作では最も多いタイプです。
てんかんには最近、副作用の少ない新しい薬が次々に登場しています。薬が無効でも手術で治る場合もあります。治療には、大きな発作だけでなく小さい発作をゼロにすることが大切です。
てんかんでは発作や悩みは患者ごとに千差万別です。学校や職場で「自分の発作はこういうタイプ」、「具体的にはこうしてほしい」と説明できるようになれば、周囲の誤解や偏見も少なくなっていくでしょう。てんかん発作があろうがなかろうが、ベストの人生を。もちろん、発作がゼロならもっとうれしいですね。
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