嗅覚障害の原因究明を/耳鼻咽喉・頭頸部外科科長 香取幸夫教授
においを感じる嗅覚(きゅうかく)は体の大切な感覚の一つであり、甘い香りやおいしい匂いとして生活を潤す一方、食べ物が腐ったときのすえた臭いやガスの臭いなど生活での危険を察知する重要な感覚です。私たちがにおいを感じるときには、においのもとであるさまざまな嗅物質が、鼻の前の奥の方にある嗅細胞に到達し、細胞が興奮して脳ににおいの刺激が伝わります。この経路に障害があると、においがしない、弱い、においの種類が分からない、違ったにおいがする、他の人のにおわないものがにおう、などさまざまな嗅覚障害の症状が出てきます。
<薬や手術で回復>
嗅覚障害の原因として多いものは、風邪などのウイルス感染に続く嗅細胞の障害です。鼻づまりや鼻水などの症状がなくなってもにおいがしない状態が続きます。長引くと治りにくい場合が多く、まだ嗅細胞の障害に対する確実な治療法は見つかっていませんが、漢方薬や嗅覚のリハビリテーションが有効であるとの報告もあり、患者さんと医師との相談の上で治療に取り組みます。
一方、アレルギー性鼻炎・花粉症・副鼻腔(ふくびくう)炎といった鼻の慢性炎症では嗅物質が嗅細胞まで到達しなくなるとにおいの感じ方が悪くなります。最近では好酸球性副鼻腔炎という難治性のアレルギー疾患による嗅覚障害の患者さんが増えています。これらの鼻疾患では薬や手術の治療により嗅覚が回復することも多く、早い時期から診断と治療を受けることが重要です。
<認知症の疑いも>
また、頭の外傷、脳の腫瘍、アルツハイマー病などの脳神経疾患、ストレスや心理的な要因でも嗅覚障害の症状が出現します。特に認知症の初期の症状の一つとして、においが分からなくなることが最近では注目されています。
普段何げなく感じているにおいですが、このように風邪をひいた後や、鼻の病気、さらに脳の病気、認知症の前触れとして嗅覚の障害が起こります。数日たっても「においが分からない」、「においが弱い」ときにはさまざまな病気が隠れていることがあり、かかりつけ医や耳鼻咽喉科医の診察を受けることを勧めます。嗅覚障害のさまざまな原因の中から、その患者さんに当てはまる病気を突き止めて治療を開始するとともに、におわない状態で安全に生活するための支援や精神面でのケアが必要になります。
「健康講座」では、宮城県内各医師会の講演会や河北新報社「元気!健康!地域セミナー」での講座内容を採録し、最新の医療事情と病気予防対策を分かりやすく伝えていきます。リレーエッセー「医進伝心」もあります。
企業や団体のトップが語る今年の展望や地域への提言です。
東日本大震災から10年。2020年度のプロジェクトはWEBサイトをご覧ください
地域を創る新しい力
(東北・新潟8新聞社合同企画)
みやぎの職場を元気に健康に!健サポフレンズも新規会員募集中
東北6県の7新聞社によるプロジェクト
今年度のテーマは「とうほくでいきる」
大震災3.11メモリアルイベント(オンライン配信)
仙台「四方よし」企業大賞
特選不動産情報(毎週金曜日更新)
Job探:仙台・宮城の求人情報
みやぎのいいものご案内!47CLUB
宮城の赤ちゃんへ贈ります「すくすくばこ」好評受け付け中!
河北オンラインコンサート みんなとつながる音楽祭
河北就職ナビ2020
LINEスタンプ「かほピョンとなかまたち」
学都仙台で学ぼう
宮城県からのお知らせ
スマイルとうほくプロジェクト
みやぎ復興情報ポータルサイト
杜の囲碁サロン
Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.