かみ合わせの調整必要/総合歯科診療部部長 菊池雅彦教授
年を取ると、歯の本数は減少する傾向にあります。2、3本の歯を失ったくらいであれば、ブリッジやインプラントという方法で、食物をかむための咀(そ)嚼(しゃく)機能を回復することができますが、残っている歯が数本、あるいは全く残っていない状況では、取り外しできる義歯(入れ歯)を作るのが第一選択の治療です。
義歯の治療は、残っている歯が少なくなるほど難しくなります。それは上顎と下顎のかみ合わせの位置関係や、上唇・下唇・舌などと本来の歯との位置関係が失われ、義歯でこれらを正しく再現する必要があるからです。とりわけ、かみ合わせの位置関係は重要です。
<ずれると痛みも>
下顎は前後・左右・上下にある程度自由に動かすことができますが、歯がそろっているときには相対する歯同士がしっかりかみ合う位置があり、これを中心咬合位(こうごうい)と呼びます。多数歯の義歯や総義歯を作るときにも、この中心咬合位で義歯がかみ合うように作らないと、うまくかむことができません。例えば、かみ合う位置が中心咬合位から4、5ミリ前方にずれた義歯だとすると、実際の食事では無意識に中心咬合位でかもうとするし、食物を飲み込むときにもほぼ中心咬合位の位置をとるので、義歯ががたついたり、粘膜に過度の圧がかかって痛くなったりします。このような義歯でも下顎を前方にずらせばかみ合うので、患者さんは何が悪いのか理解できず、歯科医師も問題点を見逃すことがあります。
ほかに、義歯のかみ合わせの高さの問題があります。かみ合わせが高すぎる義歯では、食物を飲み込む際に舌で喉の奥まで運ぶ動作がうまくできず、食物が上顎に残ってしまうことがあります。
<専門医の診察を>
一方、かみ合わせが低い義歯では、頬や舌をかみやすいとか、咀嚼に使う筋肉が疲れやすいという症状が見られます。また、位置や高さには問題がなくても、前後的、左右的にバランスが悪いと、かみ合わせの力の偏りにより、粘膜の痛みや義歯のがたつきの原因になることがあり、特に新製時はかみ合わせの調整が必須です。数年前に作った上顎の総義歯が最近、咀嚼時に落ちやすくなったという場合は、前歯より奥歯の方で人工歯の摩耗が大きいために、前歯が強く当たるようになったことが考えられます。
義歯が合わない、かめないという場合、型取(かたど)りの問題により義歯が顎に適合していないこともありますが、実はかみ合わせに原因がある場合が多いので、不具合が続くときは義歯や冠の治療を専門とする日本補綴(ほてつ)歯科学会専門医の診察を受けることをお勧めします。
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