◎東北大病院 放射線診断科科長 高瀬圭教授
子宮筋腫は30歳以上の女性の20~30%にみられる頻度の高い婦人科の病気です。月経痛や、過多月経で貧血になることもあります。筋腫が周囲臓器を圧迫すると、便秘や頻尿、排尿困難の原因にもなります。婦人科診察と超音波検査で診断しますが、磁気共鳴画像(MRI)検査は放射線診断科で行います。症状がある場合には、手術で子宮全体を摘出する治療が主体で、薬物治療や筋腫核出術も行われています。
■小さな粒を注入
新しい治療法として、「子宮動脈塞栓(そくせん)術」(英語ではUAE(ユーエーイー): Uterine artery embolization)があります。症状や筋腫の大きさ・個数・位置、年齢や妊娠希望の有無などを考慮し、各治療法の利点・欠点を理解いただいた上で、患者さん自身の希望を優先して治療法を選択します。
UAEは、おなかを切る必要がないため低侵襲で、子宮を残すことができるので喪失感も少ない治療法です。脚の付け根から直径1.3ミリほどの細い管(カテーテル)を、X線で見ながら子宮を養う血管(子宮動脈)に選択的に進めていきます。管の先端から小さな粒を注入して子宮動脈を詰めてしまうと、筋腫は栄養をもらえなくなり、兵糧攻めの状態になって小さくなります。手術のように子宮や筋腫を切って取り出すのではありませんが、症状の消失や緩和には手術と同等の効果があるとされています。UAEでは、体に負担のかかる全身麻酔は不要で、脚の付け根の局所麻酔で行います。子宮動脈を詰めることによる痛みを和らげるために、東北大病院では麻酔科の先生の協力で、背中から硬膜外麻酔を入れて痛みをコントロールします。入院は1週間程度です。
UAEを受ける前には、画像診断や婦人科診察により子宮の悪性腫瘍がないことを確認する必要があります。また、UAE後の妊娠への影響は十分に解明されていないため、妊娠を希望される患者さんには、原則として行いません。
■米国では1万例
米国では、1996年の開始以来年間1万例以上のUAE治療が行われ、体に優しい低侵襲性と高い治療効果から、手術に変わる治療法として広く普及しています。米国産婦人科学会のガイドラインでも、子宮全摘の代替療法として安全で効果的とされています。
日本での普及は諸事情から遅れていましたが、2014年よりUAEに使用される小さな粒(エンボスフィア)が正式に保険適用となり、患者さんの自己負担額が大幅に軽減され、通常の保険診療として行えるようになりました。「切らない筋腫の治療」を希望される患者さんは、当科までご相談ください。
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