◎東北大病院 消化器内科助教 嘉数英二
「脂肪肝」と聞いて皆さんは何をイメージするでしょうか?
肝臓に脂肪がたまること、お酒の飲み過ぎ、太り過ぎ、運動不足などが思い浮かぶと思います。いずれも正解です。
■悪質なナッシュ
医療現場では「脂肪肝」の原因を大きく「アルコール性」と「非アルコール性」の二つに分けます。前者は当然お酒が原因の脂肪肝です。しかし最近、後者のお酒を飲まないのに脂肪肝になる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」が非常に注目されています。なぜならNAFLDは放置しておくと肝硬変・肝がんになってしまうことがあるからです。この悪い脂肪肝を「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH : ナッシュ)」と言います。わが国には約300~400万人のナッシュがいると推定され急速に増加しています。一部のNAFLDがなぜナッシュになるのかは現在も明らかではありませんが、環境的要因(食べ過ぎ・偏った食事など)と遺伝的要因(生まれ持った体質)の両方が関係していると考えられています。
肝臓の一番重要な働きは体内の栄養レベルを一定にすることで、身体の中の余分な栄養素をため込み、他の臓器で不足している栄養素を血液中に供給します。つまり肝臓は栄養の貯蔵庫のような働きをしています。「脂肪肝」自体は余分な栄養に対して肝臓の細胞が正常に働いた結果にすぎません。一方ナッシュでは肝臓の細胞が脂肪をためる過程において壊れて死んでしまいます。ナッシュの肝臓を顕微鏡で見ると、脂肪の蓄積した細胞と壊れて死にかけた細胞が数多く観察されます。環境的要因として(1)飽和脂肪酸(パルミチン酸など)(2)コレステロール(3)トランス脂肪酸(4)フルクトース-などの過剰摂取が肝臓の細胞を壊してしまうこと、遺伝的要因としてPNPLA3という遺伝子がナッシュに関係していることが研究で明らかにされています。
■自覚症状がない
肝臓は「沈黙の臓器」と言われナッシュであってもよほど悪くならない限り自覚症状はありません。ナッシュが心配な方は、健診や人間ドックで腹部超音波と肝機能の血液検査を行ってください。もし、お酒を飲まないのに「脂肪肝」を指摘され「要精査」となった場合は決して放置しないで東北大病院をはじめとする医療機関を受診してください。特に、糖尿病・高血圧・高脂血症のある人はナッシュである可能性が高くなりますので要注意です。ナッシュであっても早期に見つかれば、適切な栄養指導により肝機能が正常化し脂肪肝も改善するケースが少なくありません。
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