◎東北大病院 肢体不自由リハビリテーション科副科長 古沢義人助教
がんは日本人の半数近くがかかるほど一般的な病気ですが、治療成績が良くなり「治る」病気になってきました。一方、がんの治療は体への負担が少なからずあり、さまざまな症状で困ることがあります。むくみもその一つで、腕や脚に起こるリンパ浮腫は、特に婦人科がん治療後に多く注意が必要です。
がんの治療ではリンパ節郭清(かくせい)をする手術が行われることがあります。リンパ節を切除することによってがんの転移を防ぐ目的ですが、リンパ液を回収する働きが損なわれ、むくみが起きやすくなります。
■放置すると悪化
リンパ節郭清の直後は周辺にむくみが起きることが多いのですが、通常は数週間で良くなります。しかし、2、3割の方はむくみが続いたまま治らなかったり、あるいは、いったん消失し長期間たってからむくみが出たりすることがあります。手術後1年間は特に注意が必要です。
むくみを放っておくと、元々正常だったリンパ管が破綻して元に戻す力を失い、腕や脚が太くなる、重くて苦しい、皮膚が硬くなる、皮膚の感染を起こしやすくなるなどの症状が徐々に進行します。
発症リスクとして、リンパ節郭清手術(特に切除範囲が広い場合)や放射線治療、タキサン系抗がん剤など治療で生じる要因と、肥満・体重増加、皮膚の炎症・感染、過度の疲労、長時間の立位・座位など、対策可能な要因があります。
■早期発見しケア
現在、病院では手術時にリスクのある方に対して予防指導をしています。リンパ浮腫の原因や治療法、生活上の注意点を理解をしておくと、何も知らない場合に比べ、発症を半減できたという報告もあります。早期に発見すれば治療と日常のケアによって症状を軽度に抑えられます。もし症状が進行した場合も、手間はかかりますが、圧迫療法、運動、スキンケアなどを組み合わせた治療が可能です。
リンパ浮腫でむくみが出る場所は、手術部位によって決まります。例えば右乳がん手術後は右上肢に、子宮・卵巣がん手術後は下肢に。ただし、下肢に出る場合は左右差が出ることがほとんどで、下腹部から股にかけて見られることもあります。
むくみを早期に見分けるポイントは(1)見た目(皮膚の厚み、血管の見え方)(2)押したときのくぼみ(3)つまんだ際の厚みや硬さ(4)メジャーで決まった位置の周囲径を測る(5)違和感(重苦しさやピリピリ感)-など、むくみが予想される部位で左右の違いを比べてみることです。このような点に気を付けて、むくみが続くようでしたらかかりつけの医師にご相談ください。
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