東日本大震災の経験をどう伝え残し、内外に発信していくか。震災から10年目の被災地で語り部や伝承施設の役割が一段と重みを増している。新型コロナウイルスの逆風と向き合いながら、確実な継承を実現する体制を整えたい。
コロナの感染拡大に伴って今春以降、被災地訪問の機会が減り、ほとんどの伝承団体は一時、活動停止を余儀なくされた。民間の連携組織「3.11メモリアルネットワーク」(石巻市)が岩手、宮城、福島3県の24団体・個人から回答を得たアンケートで、語り部ガイドといった活動の予約キャンセルは6月上旬までで約2万5000人に上った。
石巻市南浜で活動する公益社団法人「3.11みらいサポート」もその一つ。地域の語り部約20人と共に運営する伝承プログラムには年間5500人前後が参加してきたが、今年4~8月は133人と、昨年同期比で約5%にまで落ち込んだ。
活動が制約される中、各団体は感染防止対策を講じながら受け入れを続ける。中には9月になって修学旅行生らが、首都圏など感染者の多い地域を避けたことで訪問者が増えた所もある。みらいサポートでは今月、単月の参加予約として過去最多の約1300人を記録した。
インターネットでの動画配信やオンラインの活用で震災体験を発信する動きも相次いでおり、工夫を凝らした取り組みを重ねてほしい。
震災10年目の伝承活動は曲がり角を迎えている。語り部の高齢化、企業の寄付や助成の減少。中高生を中心とする若者が就職や進学で活動を休止せざるを得ないケースがあり、継承を難しくさせる。
記憶の風化の加速という難題も付きまとう。河北新報社などが5~6月に実施したアンケートによると、被災3県の語り部43団体と遺構・施設34カ所の運営者の約7割が「世間の関心の低下を感じる」と答えた。社会の注目をつなぎ留める方策を打ち出す知恵が求められる。
こうした課題の克服に向け、国や自治体の支援拡充は急務とも言える。
国はハードとソフトの施策を組み合わせた「多重防御による津波防災まちづくり」を掲げるが、伝承団体の関係者からは「復興はハード先行で、ソフトに当たる伝承事業に対する理解が乏しい」との評価が少なくない。
民間の個々の努力に頼っていれば限界が見えてくる。体制面や資金面で苦しむ団体や個人への後押しをはじめ、伝承を担う人々を直接支援できる制度の導入、次世代の人材を育てる枠組みの強化にも政策の力点を置いてほしい。
被災地で得る教訓を伝え継ぐことは今後の災害や感染症への備えに結び付く。官民の連携強化に加え、未来の命を守る意義を共有し、息長く支える仕組みを構築したい。
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