縄文遺跡 意義多面的に/赤間広志(宮城海区漁業調整委員会委員)

 鶴岡市と山形県庄内町の出羽三山周辺に東京都の業者が計画していた大規模風力発電事業の白紙撤回が、10日朝刊社会面で伝えられた。8月22日朝刊ワイド東北面で計画が報じられて以降、関係自治体が懸念を示したり、反対の市民運動が起きたりして計画の中止につながった。

 これは特筆すべきことで、公器である新聞が世論形成を後押しした結果だろう。酷暑の中で汗を流して取材した記者をたたえたい。

 9月6日朝刊1面に「EUハサップ取得へ カツオ・マグロ国内初」という見出しで、塩釜市魚市場の話題が載った。魚市場は東日本大震災の津波で大きな被害を受けたが、2017年に高度な衛生管理に対応できる市場として再建された。

 欧州連合(EU)に水産物を輸出するのに必要な食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」。それを満たしたと認定されれば、塩釜の水産業の振興につながると思う。地元紙らしい塩釜を活気づける記事の扱いだった。今後も継続的に取材をしてほしい。

 朝刊みやぎ面の企画「知ろう 伝えよう みやぎ 先人の足跡」を毎回、興味深く読んでいる。宮城県の各界の先人が残した功績を振り返ることができる好企画だ。

 多分野の人を取り上げ、その道一筋に励み、大きな足跡を残した偉人の人間像を各記者が独自の視点を生かして巧みに描いている。8月31日の登米市のワカメの養殖技術研究者大槻洋四郎(1901~81年)の記事も引き込まれた。

 地元紙ならではの地域に密着した企画であり、学校教育にも活用できるのではないか。ただ、写真のスペースが大き過ぎる気がする。もう少し記事の分量を増やす工夫をしてはどうだろうか。

 9月17日朝刊ワイド東北面の「縄文遺跡群 イコモス現地調査終了」の記事も目に留まった。2021年の世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」の登録への手応えが感じられた。青森市の三内丸山遺跡や鹿角市の大湯環状列石など東北にある縄文の遺跡は地域の宝だ。

 今後は国際記念物遺跡会議(イコモス)がユネスコ世界遺産委員会に登録の可否を勧告するが、朗報を待ちたい。その際には東北の遺跡の歴史や意義を多面的に報じてほしい。

 18日朝刊みやぎ面では、塩釜港に水揚げされるメバチマグロのブランド魚「三陸塩竈(しおがま)ひがしもの」のシーズン到来を告げる記事が印象的だった。「ひがしもの お待ちどお!」の楽しい見出しに心が弾んだ。新型コロナウイルス禍で暗いニュースがまん延している中、明るい記事だった。旬の話題をしっかりと伝えてくれた記者に感謝したい。

 20日から朝刊1面で5回続きで企画「女川再稼働を問う 迫る地元同意」が掲載された。深い取材に基づく記事で東日本大震災から9年半が過ぎた今、原発再稼働に対する状況や意識の変化、もろもろの課題を浮き彫りにした労作だった。

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