震災遺構より観光に関心? 他施設へのルートづくりが鍵に 陸前高田・津波伝承館見学者調査

津波伝承館で被災した消防車を見学する児童。今後は伝承施設間の連携も重要になる=6月

 岩手県陸前高田市の県東日本大震災津波伝承館を見学した人が、県内の他の震災伝承施設より観光施設に関心を寄せていることが、伝承館の調査で分かった。来館者は約25万人に上るが、他の震災伝承施設からは波及効果が実感できていないとの声が上がっており、人の流れが観光に向かっている現状が改めて示された。

 調査は9、10月、600人を対象に実施。震災伝承施設は10、観光施設は13の選択肢を示し、伝承館から訪れた、または訪れたい施設を複数回答で聞いた。

 このうち10月中旬までに調査に応じた379人分の集計結果が今月18日にあった伝承館の運営協議会で示された。結果は表の通り。

 観光施設は延べ1104人が回答し、宮古市の「浄土ケ浜」の168人が最も多かった。「世界遺産平泉」(平泉町)や「龍泉洞」(岩泉町)など名所6カ所は100人以上が選んだ。

 震災伝承施設の回答数は延べ598人。伝承館から歩いて10分の「奇跡の一本松」は296人に上ったが、他の施設は低調で、「いのちをつなぐ未来館」(釜石市)は68人、「津波遺構たろう観光ホテル」(宮古市)は60人にとどまった。

 伝承館は昨年9月に開館。新型コロナウイルスの影響で今年4、5月に一時休館したが、10月末時点の来館者は累計で24万8760人に上る。一方で、県内の震災伝承施設には「人が増えた感触はない」との不満がくすぶる。

 運営協議会長を務める南正昭岩手大教授(都市計画)は「伝承館を含む観光は定着しつつあるが、震災伝承施設を巡るルートづくりは途上の段階。開館から2年目を迎え、各施設とどう効果的に連携するかが鍵になる」と指摘する。

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