気になる症状 すっきり診断(90)口にできる腫瘍/早期発見し切除手術を

イラスト・叶悦子

◎東北大病院 歯科顎口腔外科 永井宏和病院特命教授

 お口は、かむ(咀嚼(そしゃく))、のみ込む(嚥下(えんげ))、味わう(味覚)、声を出す(発音)、息をする(呼吸)などの重要な機能を担っているだけでなく、顔の形、審美面にも大きく関わっています。お口にはさまざまな腫瘍ができますが、治療は切除するしかないので、手術の後にさまざまな障害が生じます。障害をできるだけ小さくするには、早期発見・早期治療が重要であることは言うまでもありません。お口にできる腫瘍について説明します。

■口腔がんが増加

 お口には、悪性の腫瘍も良性の腫瘍もできます。舌がんはよく知られている悪性腫瘍(口腔(こうくう)がん)ですが、舌以外にも歯茎や上顎、頬にもがんはできます。日本では年間約7000人が口腔がんに罹患(りかん)していて、その数は高齢化社会の進行とともに増加しています。
 口腔がんの9割近くは粘膜表面にできるので、お口の中を注意深く観察すれば自分で見つけることができます。この点は大きな利点ですが、その一方で、手術の傷や顔の変形など審美的な問題が生じるという欠点もあります。
 セルフチェックによって早期発見できれば、障害を小さくできます。口腔がんの症状は、粘膜が白い、赤い、腫れている、えぐれているなどさまざまです。皆さんもお口のセルフチェックを習慣化して、何か異常を見つけたら早めに病院を受診しましょう。東北大病院では頭頸部(けいぶ)腫瘍センターが2019年に開設され、多くの専門診療科が集まって口腔がんの治療を行っています。

■定期的に検査を

 一方、お口にできる腫瘍の中には、自分で見つけることができない腫瘍があります。それは「顎の骨」の中にできる腫瘍であり、歯の発生に関わる細胞が腫瘍化した歯原性腫瘍がその代表です。お口にできる腫瘍の1、2割を占める歯原性腫瘍はほとんどが良性ですが、中にはがん化するものもあります。幅広い年齢層に発生し、年単位でゆっくり大きくなっていくので、腫瘍が小さいうちは自覚症状がなく、虫歯治療のためのエックス線検査で偶然発見されることも少なくありません。
 腫瘍が大きくなると顎が腫れてきて顔が変形したり、かみ合わせがずれてきたりします。小さな腫瘍は口の中から切除できますが、大きくなると口の外から顎の骨ごと切除しなくてはならず、さらに切除した顎の骨を補う手術が必要になります。顎の骨の中にできる腫瘍はエックス線検査でしか発見できません。かかりつけ歯科医院で、定期的な検査を受けることをお勧めします。

河北新報のメルマガ登録はこちら
医療最前線

「健康講座」では、宮城県内各医師会の講演会や河北新報社「元気!健康!地域セミナー」での講座内容を採録し、最新の医療事情と病気予防対策を分かりやすく伝えていきます。リレーエッセー「医進伝心」もあります。

第68回春季東北地区高校野球
宮城大会 勝ち上がり表

企画特集

先頭に戻る