河北新報社が実施した東北の自治体アンケートでは、災害発生時、性の多様性を意識した行政対応が道半ばである実態が明らかになった。「プライベートな空間を」「いざというときに頼れない」。性的少数者は切実な思いを抱いている。
岩手県沿岸部に住む朝倉なおさん(28)=仮名=は、出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーだ。戸籍上男性として生まれたが3年前にタイで性別適合手術を受けた。戸籍上の性別と名前の読み方を変え、女性として暮らしている。
物心ついた時から違和感を持ちながらも、「周りの人を困らせたくない」と男性として育てられることを受け入れてきた。
大学1年の時、帰省中に東日本大震災が発生。家族は無事だったが、実家は津波で流された。避難所生活が始まると、男女で炊事や力仕事などの分業が求められる。「力になりたくても、どちらの仕事をするか考え始めると体が動かなくなった」
3年後、家族に心が女性であると打ち明けた。父も妹もすんなりと受け止めてくれた。母は性的少数者の支援団体に通い、理解を深めた。
性別適合手術を受けた今、災害時の懸念は二つある。手術を受けた体を維持するには定期的な手入れが不可欠。震災時の避難所生活を振り返ると、そうした処置ができる空間を確保できるかどうか疑問だ。また、体毛の処理などが滞って見た目が変わり、「周囲に違和感を持たれるのでは」との不安も付きまとう。
「誰でも使えるプライベートな空間が必要。トランスジェンダーに限らず、1人の時間と場所を確保したい人はいるはずだ」と訴える。
宮城県沿岸部で10年来の同性パートナーと暮らす女性(38)は、どこに行くにも逐一相手に報告する。震災をきっかけにできた習慣だ。「何か起きた時、『家族』でない私たちは行政を頼れない」。十分な安否確認ができないことを想定しての対応だった。
震災発生時はパートナーと一緒にいた。避難所の人の多さに戸惑い、駐車場の車の中で一晩を過ごした。2人の関係を知られたり、説明を求められたりするのが嫌だった。翌日以降は自宅で過ごさざるを得なかった。
震災以降、行政の支援が得られなくても周りの人が助けてくれるよう、家族や近所の人には2人の関係を知ってもらうよう心掛けている。
「さまざまな事情で性別に関わる事情を公にできない人もいる。言えない人たちも、言わないままに守られる社会であってほしい」
◎支援団体、防災ガイド公表
性的少数者に配慮した避難所運営について、東北で活動する当事者支援団体が対応をまとめている。
弘前大男女共同参画推進室の山下梓助教が主宰する「岩手レインボー・ネットワーク」(盛岡市)は2016年、支援者や自治体向けに「にじいろ防災ガイド」を作成した。インターネット上で公表している。
「同性パートナーと避難したが、プライバシーが保たれるか心配」「男女別の物資を受け取りにくい」など、性的少数者に関わる主な困り事を10項目にまとめ、対応策を示している。
秋田県内で活動する「性と人権ネットワークESTO」も17年に「多様な性を生きる人のための防災ガイドブック」を作成。希望者に無料で提供している。
山下助教は「施設に多目的トイレがなければ、携帯用トイレを用意したり男女別表示を変えたりして解決できる。工夫の余地がたくさんあることを知ってほしい」と訴える。
宮城県内の沿岸15市町からのメッセージ。東北を想う全ての人に「ありがとう」を。
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