621億円投入 の施設消滅 エネ庁 、福島沖風力の全撤去表明

撤去が決まった楢葉町沖の洋上風力発電の風車

 福島県沖で浮体式洋上風力発電の実現性を探る国の「福島浮体式洋上ウインドファーム(大型風力発電施設)」実証研究で、資源エネルギー庁は16日、関係者との協働委員会を福島市で開き、風車2基など関連設備を全て撤去する方針を正式に表明した。民間への引き継ぎを断念し、9年計621億円の国費を投じた洋上風力施設が姿を消す。

 エネ庁は撤去の費用を50億円と見込み、来年度に着手する。対象は風車や洋上変電所、海底ケーブルなど11設備。民間への設備譲渡を模索し、2事業者が希望したが、将来の撤去までを見据えた長期の事業性で折り合わなかったという。

 風車は福島県楢葉町の沖合約20キロに3基設置された。一般に30%以上が商用水準となる設備利用率は出力2000キロワットで27・7%、5000キロワットで20・9%にとどまり、設備の不具合で低迷が続いたという。7000キロワットは採算性がなく、2年前に撤去が決まっている。

 事業化には毎秒7メートルの平均風速が目安とされる。本年度はわずかに下回ったものの、エネ庁は適切な設備を使えば事業の可能性はあるとの認識を示した。

 担当の清水淳太郎新エネルギー課長は取材に「実証事業として貴重なデータが得られ、意義があった」と強調。「実証機を事業化につなげたい思いはあったが、無責任に民間譲渡するのも不適切だ」と述べた。

 県商工労働部の宮村安治部長は「データの検証を進め、今後につなげることが重要」と国に要望した。

 実証研究は2012年に始まり、丸紅や東京大などが共同で進めた。浮体式洋上風力の事業性を検証し、福島での新産業創出や国内への導入拡大を目指した。

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