社説(1/7):労働者協同組合法成立/地域課題対応へ積極活用を

 昨年末閉会した臨時国会で、「労働者協同組合法」が全会一致で成立した。
 自民党から共産党まで超党派による議員立法でまとめられた法律は「多様な就業機会の創出」と「地域における多様な需要に応じた事業の実施」を通し、「持続的で活力ある地域社会の実現に資する」ことを目的に掲げる。
 法施行は2年以内。地域、住民がこの新たな非営利組織の仕組みをどう活用していくかが問われる。
 株式会社の場合、出資者、経営者、労働者は別々で、利益追求が目的。労働者協同組合(労協)は「労働者が出資し意見を反映して事業が行われ、自ら事業に従事する」という「協同労働」が原則だ。
 海外では長く活動が行われており、日本では中高年者の失業対策事業をきっかけに、1980年代に「労働者協同組合」としての活動が始まった。現在は「ワーカーズコープ」「ワーカーズ・コレクティブ」などの名称で、国内では約3万人が就労し、500億円程度の事業規模に達するとみられる。
 ワーカーズコープが加盟する日本労働者協同組合連合会によると、センター事業団などを含めた各組織の事業内容は、施設などの管理・運営や高齢者、障害者、子どもなど福祉関連、物流やリサイクルなど多岐にわたる。
 東日本大震災の際には、東北復興本部を設け、求職者支援訓練や起業型緊急雇用創出事業を活用し、人材を育成。通所介護施設や直売所を設立するなど、地域主体での「仕事おこし」に携わってきた。
 とはいえ、労協には法的な位置付けがなく、事業にはNPO法人や企業組合などの形を取らざるを得なかった。NPO法人は自ら出資できず、事業内容が限定される。「働き方に合った組織を」と長年法制化を目指してきた。
 労協は労働者派遣を除き、基本的にはどんな事業もできることになる。例えば、地域交通への対応として、福岡、大分ではタクシー運行も始まっている。後継者のいない中小企業の事業承継や、耕作放棄地対策などにも可能性が広がるとみられる。
 付則を含めて171条もの内容の議員立法が、全会派一致でつくられるのは、かなり異例というが、あくまで「手段として法的に位置付けられた」という段階だ。
 連合会の古村伸宏理事長は「どういう地域にしていくか、自分がどう生きていくかがリンクし、住民が主体的に地域を運営していくことが大事だ」と強調する。関係者も「新たな乗り物」「ゴールではなくスタート」と受け止める。
 「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応が求められる中、自治体や住民が「協同労働」という仕組みを活用しながら、多様な雇用機会を創出し、地域の課題解決や活性化につなげていくことが期待される。

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