デスク日誌(1/22):生きる

 元旦に届いた朝刊の社会面を覚えているだろうか。一般記事はゼロ。漫画などの決まりもの以外は、長期連載「あの日から 第7部『荒浜っ子』」の初回だけを掲載した。

 分量は通常の企画の2回分。上村千春記者による200行に及ぶ力作だ。野心的な紙面構成だっただけに、編集局内の理解が得られるか最初は不安だった。

 案の定、整理部デスクから「大事件が起きたらどうするの」とまっとうな指摘を受けた。大みそかに出番だった報道部デスクは「大事件が起きませんように」と祈ってくれたという。

 年の初め、読者にぜひとも届けたかったのは、東日本大震災の津波で家族をいっぺんに失い、孤児になった熊谷海音(かのん)さん(17)のストーリーだ。

 苦難に満ちた10年の歩みを思い、リライト中に何度も目頭を押さえた。作家の浅田次郎さんは「涙は非情なヤツじゃないと書けない」と言うが、まだまだアマチュアなのかもしれない。

 熊谷さんの生きざまから何を感じるかは人それぞれだろう。ただ、「生きる」というシンプルで重いメッセージが伝わったとすれば幸いだ。
(報道部次長 山崎敦)

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