<NPOの杜>終わらないホームレス支援 路上生活前の救済策を

仙台市青葉区の五橋公園で行われたカレーの炊き出し=20年11月
夜回りで確認された路上生活者=2015年、JR仙台駅前
コロナ対策により軒下で実施された食事会に並ぶ列=20年5月、仙台市青葉区の市福祉プラザ(いずれも写真の一部を加工しています)

 仙台市でも零下を記録するときがあるこの冬。東北一の都市で、路上生活者(ホームレス)が厳しい寒さを乗り越えようとしています。

復興作業で来仙

 厚生労働省で毎年1月に行っているホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)によると、ホームレスの数は2007年から減少傾向にあります。
 しかし仙台市に限ってみると、東日本大震災のあった11年の130人から、12年には87人に減りましたが、13年は103人、14年には119人に増えるという時期もありました。路上生活者支援をしているNPO法人仙台夜まわりグループは増加した原因の一つとして、「全国各地から震災被災地に復興作業を行うために労働者が集まってきて、ホームレスに陥ったことが考えられる」とみています。
 震災後、数回にわたり団体が実施した当事者へのアンケートでは、全体の約40%が「他都道府県から復興関連の職を求めて宮城・仙台に来た」と答えています。
 「宮城県で解体作業を1年続けたが、契約期間が切れ仕事と寮を同時に失った」や「福島県での除染の仕事に採用されたが、入寮してしばらくしても仕事が始まらなかった。寮費と食費だけがかさみ、このままでは借金だけが増えると思って不安になって寮を飛び出した」「福島県での除染の仕事を始めたが、3次下請け。元請けからの通告で突然仕事が打ち切られた」-。アンケートには、復興の陰に隠れた悲痛な現状が記されていました。
 仙台夜まわりグループは、週に1回の大人食堂や食料配布、相談会などで路上生活者が抱える課題の把握に努めました。その上で、住まいや居場所、就労支援、医療などに関わる機関と連携を取りながら、路上生活者の自立支援を図りました。
 その結果、毎年約50人が就労したり年金を受給できるようになったり、あるいは生活保護を受けながら暮らせるようになったりと、自立を果たしました。

失業者の相談増

 昨春の新型コロナウイルス感染症の影響で失業者が増加したことは、ご存じのことでしょう。団体の相談電話には、例年の倍以上の相談がありました。
 特徴的なのは、路上生活に陥った後の相談ではなく、その段階の直前の人からの相談が多いこと。「これから住んでいるアパートの家賃が払えなくなりそう」「仕事がなくなりそう」「ネットカフェにいるがお金が無くなりそう」などの窮状を訴える声が寄せられました。
 全国から仕事を求めて移ってきた震災の時とは違い、東京や埼玉などの首都圏で暮らしていたものの、仕事を失い、出身が東北だから帰ってきたという人が多いということです。
 今必要なのは、「ホームレスのためのシェルター」と言います。「夜だけでもいい、今夜寝る所がない人への寝床を提供してほしい」と呼び掛けます。
 NPOが行う支援には限界があり、行政でしかできない支援もあります。本来であれば、生活に困ったときに誰もが利用できるはずの社会保障制度。しかし制度から漏れる人がいるという現実に、震災以来、再び直面しています。
 仙台夜まわりグループに話を伺い改めて気付いたことは、昨日まで働いて普通の生活をしていた誰もがホームレスになる可能性があるということです。

形態は様変わり

 しかし、この問題に対して市民はどのくらい関心を持っているのでしょうか。ホームレスを見掛けないという人もいるのではないでしょうか。それは、もしかしたら気付いていないのかもしれません。
 ホームレスの形態は、ここ10年で変わってきているからです。ネットカフェや車上などで寝泊まりしている人がその例です。身なりでは分からない場合もあります。厚労省の全国調査で仙台市も15年から減少傾向にあり、20年は70人となっていますが、数字には表れないホームレスがいるかもしれません。
 震災から10年。私たちは、もともとあった地域の多様な生きづらさの問題が、災害時に深刻化、複雑化することを学びました。今コロナ禍で改めて思い直したいです。路上生活に陥る前の段階でのセーフティーネットをしっかり整備していくことは、決して行政やNPOだけの役割ではないことを。私たちが人ごとではなく自分ごととしてこの問題に関心を持つことが大切です。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 丹野伶菜・大宮佳奈)

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