社説(3/17):総額表示義務化/痛税感薄れる恐れもはらむ

 4月から、商品の価格表示が消費税を含めた総額に一本化される。現在は店舗や商品・サービスによって、税を含まない本体価格と税込み総額の表示が混在しているが、消費税率を引き上げた際の経過措置のため、本年度限りで終了する。

 消費者の混乱を招かない円滑な移行が求められる。一方で、納税者として表示の在り方を考える機会にしたい。

 現在は「10000円+税」「10000円(税込み11000円)」など本体の価格をメーンとする表示と、「11000円(税込み)」「11000円(税額1000円)」などと総額を中心とした表示も認められている。

 制度上の基本は総額表示で、2004年4月、法的に義務化された。

 14年4月以降、消費税率が5%から8%、さらに10%と短期間に2度引き上げることが決まった。その際、事業者負担の軽減などスムーズな移行のため、特別措置法で13年10月から「表示価格が税込みと誤認されない」ことを前提に、本体価格中心の表示が認められた。経過措置が終わり、4月から義務が復活する。

 総額表示の理由は、消費者が「消費税を含め、全部でいくら支払うか」が明確になることだ。

 消費者庁は昨年9月の物価モニター調査で、「110円(税込み)」「100円(税込み110円)」「100円+税」など七つの表示を挙げ、「分かりやすさ」を聞いた。最も「分かりやすい」は「110円(税込み)」で、最も「分かりにくい」は「100円+税」だった。

 スーパーなどが加盟する日本チェーンストア協会によると、各社判断ですでに本体と総額を併記する表示などに変更したところもある。

 ただ、協会は「法律で一律に課すべきではなく、事業者自らが適切な方法を選択すべき問題」として、総額表示義務化に反対している。

 販売期間が長期となる書籍も「本体+税」の表示が多い。総額表示で、店頭の一冊一冊にシールを貼るわけにもいかない。日本書籍出版協会は昨年末、ガイドラインを出し、本体ではなく、スリップと呼ばれるしおり、帯などでの表示に言及した。中小出版社による日本出版者協議会は、書店に「換算表」を掲示してもらう方策を示す。

 協議会も義務化に反対する。コストが最終的に価格として消費者に転嫁され、作業の中で絶版になる本が出てくることなどの理由を挙げる。

 消費税率は変わることがあり得る。「本体やサービスの価格」と「税」は、どう表示されるべきなのか。

 酒やたばこなど、本体の価格と税額の中身が見えない商品もある。総額表示で、痛税感が薄れる可能性も指摘される。利便性だけでなく、納税者の視点で今後の在り方を考えることが欠かせない。

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