社説(3/28):日銀の政策修正/物価上昇目標の達成はいつ

 日銀が大規模な金融緩和の効果と副作用を点検し、政策を修正した。
 2013年から緩和政策を続けてきたが、目標とした2%の物価上昇率を達成できていない。政策が行き詰まりつつあるのは明らかだ。
 国内景気は18年秋から下降し、現在は新型コロナウイルス禍が重なる異常事態の真っただ中だ。コロナショックが落ち着く道筋が確かになった段階で、改めて点検する機動的な対応を求めたい。
 日銀は13年に国債などを大量に購入する「異次元の金融緩和」を始めた。16年9月以降、短期のマイナス金利に加え、長期金利を0%前後に誘導している。量的緩和策の一環として上場投資信託(ETF)を大量に買い入れる異例の政策も継続してきた。
 超低金利の長期化に伴い、金融機関の収益が圧迫されるなど副作用が表面化し、政策の弊害が目立ってきている。
 長期金利の変動幅は現在、おおむね0・2~マイナス0・2%程度。今回の修正により変動幅を0・25%程度とした。金利に幅を持たせれば、金融機関が国債の取引で収益を得られやすくなるという。
 副作用の抑制策として、マイナスの短期金利で収益を損なう事態に備え、コロナ危機に対応した融資を実施した金融機関に金利を支払うことを打ち出した。
 ETFの購入方法も見直した。年12兆円の上限を残す一方、年6兆円の目安は撤廃した。株価が急落するなど市場が不安定になった際に積極的に買うことにした。
 ETFは株式を束ねた投資商品。日銀の購入は株の買い支えと同じ効果を持ち、市場への過度な介入との批判がある。保有残高は時価で50兆円規模に膨らんでいる。
 日銀は「日本株の最大株主」になったとみられ、市場に対する影響力の大きさから、軌道修正が困難になっているのが実情ではないか。
 大規模な緩和策はデフレの阻止に寄与したものの、経済を成長させて物価を押し上げる力を欠く。2月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月に比べ0・4%下がった。低下は7カ月連続だ。コロナ禍でデフレに逆戻りする懸念が拭えない。
 不安定な要因が多い景気を下支えするため、緩和策を続けざるを得ないのだろう。黒田東彦総裁は2%の物価目標達成に向けて「政策の持続性、機動性を高め、強力な金融緩和を粘り強く続ける」と述べたが、対症療法では目標の早期達成は難しい。
 コロナの収束が見通せず、国内景気はワクチンの接種状況、東京五輪・パラリンピックや海外経済の動向に大きく左右されかねない。
 金融緩和が生んだ歴史的な株高とデフレ懸念がくすぶる物価の不均衡をどう解消するのか。政策運営は一段と難しさを増しており、戦略の刷新を検討すべきだ。

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