社説(3/30):不祥事続きの菅政権/国民は疲弊、砂上の支持率

 菅政権が誕生し、半年余りが過ぎた。この間、濃淡こそあれ菅義偉首相本人や家族が関わる幾つもの問題が浮上している。政界を揺るがす事態にもかかわらず、批判の大合唱には至っていない。その背景には国民が新型コロナウイルス対策に翻弄(ほんろう)され、疲弊している現実があることを肝に銘じなければならない。
 菅首相は21日、総裁を務める自民党の大会に出席した。締めくくりの演説では、秋田の農家の長男に生まれた出自や総務相時代にふるさと納税制度を創設した実績など、半年前の党総裁選でも耳にしたフレーズが繰り返された。
 地方出身の庶民派。世襲によらず、たたき上げの実力者で派閥のしがらみもない-といった当初のイメージを再投影したかったのだろうか。半面、印象に残る反省の弁や再生に懸ける言葉はなかった。
 自身の長男が勤める東北新社やNTTから総務省幹部が接待を受けていた問題は、間違いなく国民の多くが説明不足だと認識している。
 NTTの接待は菅首相が官房長官時代の2018年8月、携帯料金引き下げに言及して以降に頻度が増した。接待で行政がゆがめられたと思う有権者は少なくないはずだ。
 この半年を振り返ると、菅首相の対応で初めに不満が噴出したのは日本学術会議会員の任命拒否問題である。その後、コロナ禍の観光業を支援する「Go To キャンペーン」事業の強行で、国民が疑念を抱くようになる。
 忘れてならないのは、東京地裁で審理が進む19年7月の参院選広島選挙区を巡る公選法違反事件だ。元法相の衆院議員河井克行被告(58)、案里前参院議員(47)=有罪確定=夫妻の政党支部に1億5000万円が投入された。この大半は税金が元手の政党交付金にほかならない。
 当時、官房長官だった菅首相は現地入りして案里前議員を全面的に応援している。鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループ元代表による農相対象の贈収賄事件、農林水産省幹部の接待問題もその後、発覚した。
 これだけの不祥事や醜聞が続けば、通常は政権基盤が揺らぐ。しかし、共同通信社の世論調査で急降下していた内閣支持率は2月の38・8%で底を打ち、3月20、21日の調査では42・1%に回復した。
 新型コロナ感染者数と内閣支持率は、まるで反比例しているかのようだ。有権者が優先する関心事は菅首相周辺の失態ではなく、新型コロナに侵されたなりわいであり、私生活なのだろう。
 菅首相が掲げた「国民のために働く内閣」の評価はいかようか。新年度は4月に国政の補選・再選挙、7月に東京都議選があり、衆院選は10月21日の任期満了までに行われる。有権者はコロナ禍の政治と選挙にしっかり向き合い、意思表示すべきだ。

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