河北春秋(4/8):漢字を多く使う。カタカナ英語を多く使う。…

 漢字を多く使う。カタカナ英語を多く使う。造語を多く発明する。独特の言い回しを多く使う。井上ひさしさんは『にほん語観察ノート』で官僚が作る「わけの分からない文章」の癖を挙げている▼宮城、大阪、兵庫の3府県で新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用が始まった。物々しい漢字が並んだ上に妙な造語も登場した▼「私はもう、『まん防』の発令を検討する時期に来ていると思います」。政府分科会の尾身茂会長が連発した略語。魚の「マンボウ」を連想させる響きで、担当閣僚も「ちょっとふざけた雰囲気がある」。結局「重点措置」を使うことになったようだ▼東日本大震災の復興事業でも変な略語があった。被災者がまとまって高台や内陸部に移る「防災集団移転促進事業」を略した「防集」。強引な短縮語は役所内では便利だったのだろう。井上さんは文書から見る官僚像を、わざわざ表現を難しくし「自分たちを堂々として、おごそかで、いかめしい存在にみせたがる人たち」と記した▼コロナ禍の現実は厳しい。行きつけの店に電話したら「すみません。例のまん延防止で5月5日まで休むことになって」。テークアウトも見送るという。「再開が楽しみです」と返すのが精いっぱい。これから1カ月が長い。(2021・4・8)

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