河北春秋(6/18):政治を風刺した漫画で知られた清水崑はかつ…

 政治を風刺した漫画で知られた清水崑はかつて吉田茂首相をよく描いた。さすがに吉田は大物だけあって不快に思うどころか、風刺と似顔絵を面白がった。吉田を顕彰する事業団が後に画集にまとめている▼その中にこんな作品。遊園地の回転木馬に和服の首相、前の馬には財布、やじろべえの形の均衡予算、金融引き締めを命じたドッジライン。吉田を追い立てるのは野党党首、年の瀬の鬼…。タイトルは「滅入りゴーラウンド」▼70年ほど昔の風刺画なのに、現在によく通じる部分がある。政府が閣議決定する骨太方針では、2025年度の財政収支黒字化の目標を従来通りとする。均衡予算のやじろべえ、財源を意味する財布…を追いかける政治漫画とそっくりだ▼政府を追い立てるはずの野党。今も相変わらず迫力を欠くが、ようやく消費税の減税についてはまとまり始めた。次期衆院選の争点とする狙いらしい。コロナ禍の長い苦境から経済や雇用をどう立て直すかはまさに重要課題だ▼非正規やパートの若者や母子家庭など深刻な打撃を受けた人たちの生活再建を考えれば、財政収支を心配する時ではない。メリーゴーラウンドのメリーは「愉快な」の意味があり、明治期には「快回機」と訳した。これからの経済も快く回ってほしいもの。(2021・6・18)

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

先頭に戻る