(4)ふと言ひよどむ空蝉の数へ方/河内 静魚(1950年~)

 夜中ひそやかに羽化を済ませた蝉(せみ)は、太陽の下に、精緻な抜け殻を残していきます。場所によっては、木々に鳴く声に合わせて無数の蝉の殻が周りにあることに気付きます。さて、あなたはそれをなんと数えるでしょうか。もはや生きていない物体として1個と数えるのか、生き物として1匹と数えるのか。中身なく動かない殻なのに、まだ生きているように感じる、そのかすかなおののき。それが作者を言いよどませたのではないでしょうか。句集『夏風』より。
(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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