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ムスリムでも焼き肉OK 戒律順守し、たれ開発 石巻・山形屋商店

ムスリムフレンドリーの焼き肉のたれをPRする山形代表取締役

 みそやしょうゆなどを製造、販売する創業113年の老舗「山形屋商店」(石巻市門脇町1丁目)が、イスラム教徒(ムスリム)でも食べられる焼き肉のたれを開発した。県内の技能実習生向けに販売し、インバウンド(訪日外国人客)需要などを見据えた販路開拓に取り組んでいる。

 豚肉や酒などの摂取を禁じるイスラム教の戒律に寄り添った「ムスリムフレンドリー」の商品で、甘口と辛口の2種類。原材料はしょうゆをベースに、ニンニクやショウガ、こしょうなどで味のバランスを整えた。一方、本来うま味を強調する肉由来の調味料やみりんなどは使っていない。

 東日本大震災後の出会いが開発のきっかけになった。山形屋は約2メートルの津波に襲われ、工場と社屋が全壊。廃業の危機に直面する中、大阪から訪れた大手企業の復興担当社員がアドバイスした。

 「今後訪れるインバウンド向けに商品を作ってはどうか。ムスリムは豚が食べられない。魚の町石巻が生きる」2014年から試行錯誤を繰り返し、「ノンポーク・ノンアルコール」をうたったサバだしラーメンのスープや和風ドレッシングなども作り上げた。

 決め手となったのは、留学中のインドネシア人女性の一言。「ムスリムでも野菜より肉が好きな人もいる」。完成へのハードルは低くはなかった。砂糖一つをとっても、一般的な上白糖では製造過程で豚由来の成分を使う。代わりにきび砂糖を使うなどの工夫が必要だった。コスト面での負担はあるが、小ロットで製造できる強みを生かす。

 山形政大代表取締役は「日本で食べるものに困っているムスリムの人においしい食事を楽しんでもらいたい。無添加なので健康が気になる一般の方にもお薦めです」と語った。

 石巻市内では山形屋と石巻市中央2丁目の「いしのまき元気いちば」で購入できる。山形屋のホームページでも販売している。200ミリリットル入り、税込み350円。

Muslim friendly〔ムスリムフレンドリー商品〕- 仙台味噌の石巻市山形屋商店

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