河北抄(7/9):毎年出る年間のベストエッセー集を好きで買…

 毎年出る年間のベストエッセー集を好きで買い求めている。古い本から処分しようと思って、パラパラとページをめくっていると、『スズメが天然記念物になる日』というタイトルが目に付いた。

 30年ほど前の文章だ。要旨は、歴史的に稲作の普及とスズメの増加は深く関係していて、水田が減少すれば当然スズメも減ってしまうという。書いたのは松田道生さんという日本野鳥の会の人。

 周囲に目を向けると、確かにスズメが少なくなった。当欄は若い頃に夜勤職場にいて、夏場など帰宅してさあ寝ようというのは早朝。「チュン、チュン」と鳴き声がうるさくて、うるさくて。

 年齢のせいか目覚める時間が早くなった近頃。耳を傾けてもスズメの声がほとんど聞こえない。稲穂をついばむために害鳥と言われたスズメは、害虫を食べる益鳥でもある。減少は寂しい。

 朝の徒歩通勤の途中、あるマンションのフェンスにスズメの幼鳥が1羽。体はまだ小さく、くちばしは黄色。なかなか愛らしい。元気に育ってもらいたいなと思いつつ、そっと通り過ぎた。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る