記者ログ(9/7):失ったもの

 展示室に入るとまず石器や土器が目に入る。旧石器時代や縄文時代、この地域に人々が生活していた痕跡。原発事故以前の福島県富岡町の歩みを一から伝え、江戸時代の宿場の形成、現代に続く商店街のにぎわいなどを紹介する。「人々の暮らしは遠い時代から連綿と続いています」。パネルはこう説明する。

 地域の成り立ちや東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の経験を伝えるため、7月に町が整備した「とみおかアーカイブ・ミュージアム」。商店街の初売りで配られた茶わんを並べるなど日々の営みを丁寧に伝える構成に驚いた。学校の体育祭の写真は、過去の自分と重ね合わせて眺めた。

 原発事故に関する展示で、2011年4月に開催予定だった桜まつりのポスターがあった。毎年、どれほどにぎわったのだろう。失った物の大きさ、日常を突然奪われる苦しみが自分のことにように胸に迫った。(報道部・吉田尚史)

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