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「家計支出」では全国一 特集/笹かまにあ

ルーツは明治時代

 総務省家計調査では、仙台市が「かまぼこ」の家計支出1位(練り物全体では2020年に長崎県に抜かれ2位)。仙台人に身近な存在ではあるが、贈答に高い人気を誇りつつも、意外にその素顔を知らない人も多いのかも…ということで、まずは基礎知識を。

 宮城県の資料や生産者らによると、そもそもの歴史は明治時代にさかのぼる。名取市閖上地区や金華山沖で大漁が続いて余ったヒラメの保存のため、すり身にしたのが始まりという。笹型になったのは「魚を焼くのと同様に、串に刺しいろりで焼きやすい形だったからでは」(仙台のメーカー)との推測もある。当時は「笹かまぼこ」の他に「木の葉かまぼこ」「べろ(舌)かまぼこ」「手の平かまぼこ」などと呼ばれ、庶民に親しまれていたようだ。

「命名」から86年

 全国的に知られるようになったのは、1935(昭和10)年創業の阿部蒲鉾店(青葉区)が伊達家の家紋「竹に雀」の笹にちなみ、「仙台名物・笹かまぼこ」として売り出したことがきっかけ。ご当地グルメとして人気が高まり、名称も統一されていった。ちなみに「笹かま」は登録商標。商品に使用できるのは県の業界団体に加入するメーカーと紀文食品だけだ。

 現在、主に使われる魚種はスケトウダラ。安定した漁獲量と価格に加え、クセのない味わいとすり身にした際のコシの強さが魅力。筋力アップを目指す人に「フィッシュコラーゲン」が注目されているが、スケトウダラのたんぱく質は、加齢で減少する「速筋」の増加に役立つともいう。

 かまぼこはアミノ酸のバランスに優れ、高タンパク・低脂肪。特に朝食に食べるのがお勧めだ。「笹かまにあ」としては、贈答品に一言添えたい豆知識だ。

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Written by 関口幸希子
(河北ウイークリーせんだい 2021年12月2日号掲載)

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