六華亭遊花×春風亭与いち 対談その１ 【特集】2022年は笑う年

　いいこと、そうでないこと、それぞれいっぱいあった２０２１年も残りわずか。閉塞感でうつうつとした心は、笑い飛ばして切り替えよう。明るい新年を迎えるために、お薦めしたい仙台の笑いを紹介する。

　そして、「笑い」といえばやっぱり落語。「東北弁落語」の六華亭遊花さんと、仙台市出身で落語協会所属の現最年少二ツ目、春風亭与いちさんに、仙台の笑いを聞いた。

遊花「仙台の客は温かい」与いち「家族皆で楽しんで」

―どんな１年でしたか。

　与いち　３月に昇進し、大きな転換の年でした。今月仙台で開いた昇進記念落語会は満員御礼。「地元で真打ち披露」という新たな目標ができました。

　遊花　新型コロナウイルス下でしぶとく粘った年。イベント中止の連絡ばかりで電話が怖かった時期もあったのですが、落語会を細々と続けました。こんな状況でも「落語はなくなっていないぞ」って。10月ごろから仕事が戻り、ほっとしました。
―そもそもなぜ落語家に。

　遊花　東北の言葉を使いたいと思ったのが最初。社会人落語の会で活動し、三遊亭遊三一門に入りました。その前年に東日本大震災が起き、師匠が「宮城で東北の人たちのために落語をやれ」と言ってくれて。古典を東北弁にしたり、東北の民話を題材にしたり、自由にやっています。

　与いち　父が落語好きで、経営するレストランに噺家を呼んで落語会を開いていたんです。自然に落語家を目指し、16歳の時に憧れの春風亭一之輔師匠に弟子入りを志願しました。「まず高校を出なさい」と断られましたが。東京に頻繁に通い、高校卒業後に入門が認められました。

　前座修行は師匠から口伝で落語を教わります。僕の稽古の動画が公開されたことがあり、ちょっとやりづらくなったネタもあります（笑）。

　遊花　私はすぐ改作しちゃうので、師匠も教えようがない。師匠に対面で稽古を付けてもらえるってありがたいこと。CDで覚えると、誰のを聞いたか分かる人は分かるそう。同じ所で間違えるから。
―お二人の関係は。

　遊花　事務所を通してください、というのは冗談で、レストランの落語会に私も呼ばれていたの。だから先にお父さんと付き合いがあって…変な言い方だな。与いちさんは小学生の頃から知っています。こんなに立派になって。仙台初の噺家がうれしくて、みんな応援しています。

　与いち　初めての共演は今年９月。東北の噺家３人の「チーム東北おがる会」でした。
（その２に続く）

プロフィール

＜ろっかてい・ゆうか＞　
　アナウンサーを経て東北弁による話芸団体「東方落語」に参加。2012年、三遊亭遊三さんに入門。東北弁落語の第一人者として、地域に寄り添った笑いを届け、絶大な人気を誇る。落語芸術協会所属。

＜しゅんぷうてい・よいち＞
　仙台向山高を卒業した2017年、春風亭一之輔さんに入門。見習い、前座を経て、21年に二ツ目に昇進。東京を拠点に、地元仙台でも活動中。出ばやしは「八木山ベニーラド」。

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Written by 須藤文音
（河北ウイークリーせんだい12月23日号掲載）