河北抄(1/18):水仕事のつらい季節だ。給湯器や食洗機が普…

 水仕事のつらい季節だ。給湯器や食洗機が普及しても、野菜や魚を洗う食事の支度は水に触れないわけにはいかない。

 「冷たい」の古語「冷たし」は「爪痛し」から来ているという。指がちぎれそうなあの感覚。確かに実感だ。

 冬に欠かせない鍋物は具材を洗う作業が意外に多い。白菜、春菊、キノコ…。根まで食べるセリは特に念入りに。こうなると、もう手指がじんじん痛みだす。

 「すき焼きは亡き父思う味」。先月の朝刊「声の交差点」にそんな投書があった。肉が高価だった幼い頃、年末に父が作るすき焼きは「最高のごちそう」。母を手伝ってよく料理をする人ではあったが「このすき焼きは格別」だったとか。

 寄せてくださったのは宮城県大和町の矢内明郎さん(67)。何年か後に肉は豚肉から牛肉に変わったという。高度成長が続く昭和30年代らしいエピソードだ。

 痛いほどの冷たさに耐えたり、年の瀬の買い物に財布をはたいたり。鍋にはいつも、大切な人を思う心がこもる。

 <すき焼きやいつか離れてゆく家族 花野くゆ>

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