閉じる

風と手と土【特集】来て、見て 仙台海手

 仙台海手(せんだいうみのて)は仙台圏の東部に広がる海浜・田園エリア。11年前の東日本大震災で一帯は甚大な津波被害を受けたが、新しい施設や道路の整備が進み、活気を取り戻しつつある。この地で活動する人々を訪ね、仙台海手の魅力を探った。

鈴木 孝博さん一家 「農園広げ 減農薬野菜作り」

右から鈴木遥丈さん、文江さん、孝博さん

 自家製スイーツや、全粒粉生パスタ、地元の「仙台メダカ米」などからメインを選べるランチが人気のカフェだ。福島県北塩原村でペンションやカフェを営んでいた鈴木孝博さんと文江さんの夫婦は、津波で変わり果てた仙台市宮城野区の新浜地区を見て、2015年に文江さんの実家跡地に店をオープンさせた。予約は受けていないが、コロナ禍で郊外が注目される今は、14席が日に何度も満席となる。

 「身近なものに目を向けて私たちが面白がってやってきたことを、お客さんが共感してくれているのかな」と孝博さん。ニワトリ約50羽を飼育し、ヤギが農園の雑草を
はむ。新鮮な卵は料理に使い、余った分を販売。「草茶」(450円)は、敷地内の野草をブレンドしていった。

 この春から農業に力を入れる。宮城県農業大学校を卒業する長男遥丈さんが農園を広げ、研究成果を生かして減農薬栽培に挑戦する。野菜は料理に使ったり、直売し
たりする。遥丈さんは「店の名前となった海風に吹かれ、土の力で野菜本来の力を引き出す。パスタにする小麦も作れたらいい」と構想を思い描く。

風と手と土
仙台市宮城野区岡田浜通45-3
TEL022-702-8552
営/ 10:00~17:00(ランチタイム11:30~14:00)
休/ 月曜(祝日の場合は営業、翌火曜休み)

(河北ウイークリーせんだい2022年3月10日号掲載)