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「だから」は同意だっちゃ 【特集】なじょだべ仙台弁

仙台弁こけし

 宮城県を中心に使われる方言「仙台弁」。地元の人は共通語だと思って使っていても、初めて仙台に移り住んだ人には通じない言葉もある。タイトルの「なじょだべ」は「どうでしょうか」の意味。河北ウイークリーせんだいのキャンペーン大使、仙台弁こけしの解説などで仙台弁を紹介する。

「だから」は同意だっちゃ 仙台弁こけしの仙台弁講座

 まんずどうもね〜。今日は「仙台弁」についてお話しすっちゃ〜。よく仙台弁は「仙台市で話される方言ですか?」と聞かれることがあっけども、ちょっと違うっちゃ〜。仙台弁は藩制時代の仙台藩領内で庶民が使っていた言葉が元になった方言でがす。だから宮城県全域の方言を「仙台弁」と呼ぶのっしゃ。

 発音の特徴は、寿司が「すす」、餅は「もづ」、キリンは「ちりん」になるなど「し」を「す」、「ち」を「づ」、「き」を「ち」と発音すっちゃ。濁音や促音(小さい「っ」)が多いことも特徴的だなや〜。

 ひと口に仙台弁といっても県南と県北、沿岸部と内陸部とでは方言が違うっちゃ。おらは県北寄りの方言を話すっちゃ〜。

 県外から引っ越してきた人がよく驚く表現が、「だから」だっちゃね。普段は共通語を話す若者世代も使ってるなや〜。これは「だから何?」と相手を問い詰めてるのではなく、そうだよね」という同意の言葉だっちゃ。もっとなまると「んだがら」となっちゃ。

 他に、体調が優れないときに使う「がおった」や、疲れたときの「こわい」、運動して息切れしたり、緊張してどきどきしたりしたときの「はかはかする」など、体の状態を伝える表現もあっちゃ。

 今は仙台弁を話す人がだんだん減ってきているなや~。仙台弁は面白くてあったけぇ言葉だっちゃ〜。転勤や就職で仙台に来た人にも仙台弁を覚えてもらえっとうれすぃなや~。んでまず〜(それではまた)。

<仙台弁こけし>
 2014年に誕生。各種SNSを通じて仙台弁で宮城の魅力を発信している。イベント出演、無料通信アプリLINEのスタンプやグッズ販売など幅広く活動中。

ミニ用語用例集

【けさい(けさいん)】

 「ください」の意味。敬意が含まれた表現で、同様の意味の「けろ」より丁寧な言い方になる。動詞につけて「買ってけさい」のようにも使える。
▼こっちば見でけさい
▼今度のイベントさ、来てけさい

【いずい】

 「違和感がある」「しっくりこない」の意味だが、地元の人が「『いずい』を説明するのがいずい」と困るほど独特な表現。
▼まなぐ(目)さ「ばか(ものもらい)」できていずい
▼いずいと思ったっけ、ずぼんがうっしょめ(前後が逆)だった

【うるかす】
 鍋の焦げ付きなどを「水に浸けてふやかす」、米や豆を「浸水して柔らかくする」ことを指す。長風呂で指先がしわしわになることは「うるける」という。「潤す」とは語源が一緒と考えられる。
▼コメうるかしといて

【おだつ】
 「調子に乗る」「ふざける」「騒ぐ」の意味。子どもを「おだづなよ!」としかる際によく使う。「おだてる」の自動詞に当たる。ふざけてばかりいるお調子者を「おだづもっこ」と呼ぶ。
▼おだってばりいで、ごっしゃぐど(怒るぞ)

【ねっぱす】
 「貼り付ける」「くっつける」の意味。自動詞で「ねっぱる」もあり、「ねっぱってはがれない」というように使う。ちなみに似た言葉の「ねっぺす」は「寝よう」の意味である。
▼切手ば(を)はがきにねっぱしてけさい

【ちょす】
 「いじる」「触る」の意味で、「いたずらする」のニュアンスを含む。「ちょすなよ」と子どもに注意するのに使う。
▼どこだりかぐだり(あちこちいろいろ)ちょして、わがんねよ(駄目だよ)

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(河北ウイークリーせんだい 2022年4月14日号掲載)

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