河北春秋(7/23):突然、2021年7月23日は何があった日…

 突然、2021年7月23日は何があった日か、と問われて、即答できる人はどのくらいだろう。では1964年10月10日はどうか。かつての「体育の日」だから分かる人は多いはず。いずれも東京五輪の開幕日▼2度目の開幕からきょうで1年となる。東日本大震災からの「復興五輪」を標榜(ひょうぼう)していたと記憶する。復興庁が昨年11月に岩手、宮城、福島3県と東京都の各1000人に実施したアンケートが物語る▼五輪・パラリンピックが「感謝、復興の姿を世界に伝えることに寄与したか」との質問に、「思う」29・8%、「思わない」38・8%。「最も良かったこと」は「なかった」39・6%。復興に関するレガシーは「ない」が40・1%。回答の都県別は公表していない▼苦い光景だった。2018年晩夏、整備中の競技会場などを視察した。晴海埠頭(ふとう)では選手村の高層宿舎群を建てるため、30基に上ろうというクレーンが天へと林立し、周辺あちこちで新しい施設が威容を現し始めていた▼被災地では爪痕がなお深く、小さな集会所の完成にも「前へ進んだ」と喜んでいた。復興五輪。選手やボランティアらの奮闘は消え去るものではない。コロナ禍が輪をかけたのは無論だが、出発点の違和感が記憶への刻印を遠ざけている気がしてならない。(2022・7・23)

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