河北春秋(8/3):早熟な人だった。3歳からバイオリンを始め…

 早熟な人だった。3歳からバイオリンを始め、その才能を1958年に来日した名匠レオニード・コーガンに認められた▼世界的バイオリニスト、佐藤陽子さんの訃報が届いた。福島市出身、72歳だった。旧ソ連政府から招待され、9歳から21歳まで留学。16歳の佐藤さんを伴って65年に来日したコーガンは「偉大な天才はよその国で、よその国の人が発見することが多いものです。ヨーコ・サトーをどうか高く評価してやってください」と褒めたたえた▼留学中は1日10時間の練習をこなし、コンサートは全てフリーパスというクラシック漬けの日々を送った。66年のチャイコフスキー国際コンクールで3位入賞し、モスクワ音楽院は首席で卒業した。声楽はマリア・カラスに師事し、『蝶々夫人』を国内外で演じた▼版画家で、芥川賞作家の故池田満寿夫さんはパートナー。岩手県藤沢町(現一関市)の「藤沢野焼祭」にはそろって参加し、福島県のPR役「しゃくなげ大使」は2人で務めた。東北との縁も大切にしていた▼佐藤さんは25年前、最愛の人との別れに「一番悲しいことは私の最大のバイオリンのファンを1人失ったこと。でもこれからもバイオリンを弾くたびに彼が聞いていてくれると思う」。彼の岸で好きな曲を捧(ささ)げているだろう。(2022・8・3)

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