お手軽料理にチャレンジしよう 【特集】もちもち さくさく コメ粉ワールド
輸入小麦粉の価格が高騰する中、コメを細かく砕いたコメ粉への関心が高まっている。小麦粉より値は張るとはいえ、国産のコメへの信頼度は高い。食事やおやつの材料などへと活躍の場を広げるコメ粉を取材した。
もちもちで香ばしいコメ粉ワッフル
仙台市若林区で栽培した宮城県産米主力品種「ひとめぼれ」のコメ粉で作ったワッフルの生地は、もちもちで香ばしい。ワッフルを販売するキッチンカーは、同区の若手農業者グループメンバー三浦来喜さんが社長を務める「KAI」が運営する。
「イチゴ&オレオ」(写真)、「チョコ&バナナ」など甘味系は6種類(いずれも650円)、食事系の「ハム・ツナ・チーズ」(700円)も用意する。
店長の針生萌衣さんは「もっちりしたコメ粉の食感を楽しんでほしい」とPRする。キッチンカーはKAIが運営する「サプールカフェ」の駐車場や、仙台圏のイベント会場などを回る。
営/ サプールカフェ(仙台市若林区沖野2-8-20)の場合
11:00~16:00
※売り切れ次第終了(詳細はInstagramで)
休/火・水曜
TEL022-209-2751
お手軽料理にチャレンジ
コメ粉を使い慣れない人でも手軽に作れる料理って何だろう。「CHOOSE FOOSE」の屋号でコメ粉の菓子を製造販売する仙台市の宍戸由佳さんに、2品のレシピを教えてもらった。
※コメ粉は菅原商店(加美町)製を使用
<ズッキーニのポタージュ>
とろみ付けにぴったりの水溶きコメ粉を使って、舌触り滑らかなポタージュに。たっぷり使うタマネギのうまみとコメ粉のほんのりした甘みで、スープの素いらずのおいしさだ。
「少し緩いかな」と感じる仕上がりでも、少し冷めるとちょうどいいとろみになる。「片栗粉を使うと冷めるに従ってとろみがほどけていくことが多いけど、コメ粉はそうはなりません」と宍戸さん。
ズッキーニだけでなく、ホウレン草などの葉物でもOK。水溶きコメ粉を使えば、小麦粉や乳製品を使わずにホワイトシチューやグラタンを作ることができる。
=材料 4~5人分=
タマネギ…中1個
ズッキーニ…中1本
豆乳(牛乳か水でも可)…500ml
コメ粉…大さじ2弱
塩…小さじ1/2~1
オリーブ油…適量
パセリ…適量
=作り方=
(1)タマネギは繊維方向に対して垂直に薄切り、ズッキーニは輪切りに。コメ粉を大さじ3の水で溶いておく
(2)鍋にオリーブ油を入れタマネギをじっくり炒めて甘みを引き出す。きれいな色に仕上げるため焦がさないように
※塩少々(分量外)を入れると水分が出て時短になる
(3)ズッキーニを加えてさっと炒め、少量の水(分量外)を入れてふたをし、約5分蒸し煮する
(4)軟らかくなったら火を止め、豆乳を少し加えてハンドブレンダーなどで滑らかにする。残りの豆乳と水溶きコメ粉を加え、鍋肌や鍋底をこそげるように混ぜながら温める。強く沸騰させると豆乳が分離するので気を付ける
(5)塩で調味し、パセリを散らして出来上がり。冷やしてもおいしい
<お好み野菜の天ぷら>
「天ぷらを作るのは苦手」という人にこそチャレンジしてほしい。何といっても衣の作り方が簡単。小麦粉の場合は「必ず冷水で」「混ぜ過ぎない」などこつがあるが、コメ粉なら水と卵と一緒にかき混ぜるだけだ。
小麦粉には水と混ざると粘りが生じるグルテンが含まれるが、コメ粉はグルテンが含まれない。「コメ粉は小麦粉に比べて吸油率が20%ほど少ないので、油も控えられます」と宍戸さん。揚げたてはもちろん、冷めてもかりっとした食感が続くのが特長で、弁当用の唐揚げにもお薦めだ。
=材料=
カボチャ、ナス、サツマイモ、マイタケ、大葉など好きな野菜
揚げ油…適量
コメ粉…100g
水…170ml
卵…1個
=作り方=
(1)ナスは縦半分に切って切り込みを入れる。カボチャ、サツマイモは1㎝幅に切る。マイタケは手で割いておく
(2)衣を作る。コメ粉と水を合わせて混ぜ、溶き卵を加えてよく混ぜる
※レシピは衣が薄く付く配合。厚めが好みなら水の量を減らして調整を
(3)揚げ油を170℃に熱し、具材を衣にくぐらせて揚げる
製法で異なる特徴
「一口に『コメ粉』といっても、製粉方法などによって粉の性質がまったく異なります。料理で使うときは注意が必要です」と宍戸さんはアドバイスする。
宍戸さんが用意してくれたのは2種類の製法が異なるコメ粉。いずれもコメ粉50gに同量の水を入れてかき混ぜたところ、一方はドロドロのだま状に、もう一方はサラサラの状態になった。
写真右は宍戸さんが作ってくれた料理に用いた菅原商店のコメ粉(お菓子・料理用)で、卵を使ったパンケーキや料理一般に、左は別のメーカー製でグルテンフリーのパン、卵を使わない菓子作りに向いているという。
宍戸さんは、地元のコメを使っている菅原商店のコメ粉は味わい深く感じられるため、常用しているという。
消費者が量販店でコメ粉を買うときは、粉の詳細な性質まではなかなか分からないのが実情。宍戸さんは「料理する前にコメ粉に水を混ぜてみると、粉の性質がある程度つかめるはずです」と話す。
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Written by 鶴岡 彩
Photo by 礒崎 亮(表紙)
(河北ウイークリーせんだい 2022年8月25日号掲載)