地元の食材が豊富 献立に迷ったら声掛けて【特集】おいでよ仙台朝市
仙台朝市。1945年、仙台空襲の焼け跡に立ち並んだ露店「青空市場」が始まりとされる。JR仙台駅から徒歩5分の好立地にあり、新鮮な地元の食材を豊富に取りそろえる。昔ながらの生鮮食品の店から若い世代向けの新店まで幅広く楽しめる商店街に足を運んでみよう。
季節の魚 鮮度の高さ自慢 魚の松や
四季折々の旬の鮮魚が、多彩にそろう。魚介類は主に仙台中央卸売市場と石巻魚市場から直送の三陸のもの。刺し身はもちろん、干物や寿司、魚卵などバリエーション豊かだ。
種類は季節ごとにさまざまだが、9月は「底引き網漁」が解禁となるため、さらに魚種が増える。店主の松谷さんは「何よりも鮮度の高さが自慢。日ごとに多くの魚介類が並ぶので立ち寄ってみて」と呼び掛ける。
間もなく秋サケやイクラ、サンマ、戻りガツオなどがお目見えする予定。店に通って掘り出し物を見つけてはいかが。
営/9:00~17:00
休/日曜、祝日
TEL022-266-7877
地場産野菜 食卓を明るく 太庄青果
家庭料理に使う野菜と果物を、リーズナブルな価格で販売している。毎日13種程度が並び、中でもバナナやオレンジ、レモンが「味がいい」と評判だ。
定番の一つ、名取産の宮城トマトも、果頂部においしさの印といわれる放射線状の線がしっかりと入り、鮮度が高く人気。他にも季節ごとの宮城県産野菜がある。
例えば、春は葉物、夏は仙台茶豆や古川ナス、秋はシイタケ、冬はちぢみホウレンソウなどが購入できる。地場産の季節ならではの野菜を料理に取り入れれば、毎日の食卓がワンランクアップすること間違いなしだ。
営/8:00~17:00
休/日曜、祝日
TEL022-211-8839
抜群に甘い果物味わって 山形の農家の店 武田青果
天童市にある自社農園産を中心に、山形産の果物や野菜を販売している。夏と冬、昼と夜の気温差が大きい山形で育つ果物は、抜群の甘さと芳醇な香りが特長だ。種類も豊富で、1年を通してさまざまな品を取りそろえている。9月の一押しはブドウ。最盛期にはシャインマスカットやピオーネの他、珍しい品種も合わせて5、6種が並ぶ。価格は1房500円~5000円と幅広い。店の一番の自慢は、スタッフが元気いっぱいでフレンドリーなこと。迷ったら、特徴や予算に応じた選び方などを気軽に聞いてみて。
TEL022-211-9377
営/9:00~16:00
休/日曜、祝日、臨時休あり
北海道と東北産 品数豊富 豆・雑穀の専門店 すずや
東北には珍しい、豆と雑穀専門の小売店。豆は主に北海道、東北産を約30種そろえている。使いやすい大豆や小豆はもちろん、甘煮用の花豆やエスニック料理に欠かせないレンズ豆などもある。
大豆だけでも小粒から大粒まで多種取り扱っていて、作りたい料理や好みを伝えて選ぼう。乾燥大豆をいって酢に漬けるだけの「酢大豆」など、手軽に作れるレシピを配布中。
雑穀のお薦めは、店オリジナルの「雑穀ごはんのもと」。年4回、季節ごとに中身が変わる。今秋バージョンは9月から販売する。
TEL022-223-6048
営/9:00~17:00
休/日曜、祝日
献立に迷ったら声掛けて 若い世代向けショップも期待
◆仙台朝市商店街振興組合理事長 入間田博さん
仙台朝市で鮮魚店を営む家庭に生まれ、自身も朝市の一員として活動している入間田さん。多くの買い物客が行きかう様子を見ながら、今よりもっと勢いがあったと昔を懐かしむ。
「早朝の仕入れから戻って店を開ければ、待っていたとばかりに大勢のお客さんが来てくれた」。夕方に人の波が引くまで、それこそ昼食を取る間もない日も珍しくなかったそう。「今は忙しい人が増えたのかな、料理を一から作る人が減ったような感じだね」と入間田さん。それでもお盆や年末ともなると通りには活気が戻り、往時を思い出すという。
朝市の魅力はなんといっても対面でのコミュニケーションだという。やり取りを通じて旬の食材を知ったり、調理法を聞いたり、魚なら下処理をお願いできたりする。「売る側も、会話をしながらの方が楽しい。献立に迷ったら、気軽に一声掛けてください」
鮮魚店や青果店の他、最近ではパン屋や韓流ショップなど若い世代が営む店もできた。「新しい波が多くの人を呼び込み、仙台朝市に新たな活気を生み出すきっかけになってくれたらうれしい」と願う。
「日曜市」毎月開いてます 9月は総菜や地酒販売も
有志の一部店舗が営業する「日曜市」は、月に一度のお楽しみ。平日に足を運ぶのが難しい若い世代にも仙台朝市の魅力を知ってもらおうと、昨年11月から毎月第2日曜に開催している。
企画したのは青果などを扱う安達商店3代目の村田浩社長と、ワタベ生花店3代目の渡部勝也さん。「仙台朝市を盛り上げたい」という2人の思いに賛同し、参加店は鮮魚店やコーヒー店など約15店舗まで増えた。
「午前7時にラーメン店に集合し、みんなで『朝ラー』を食べてからスタートするのが定番」と村田さん。取引先の飲食店の協力を得て汁物を振る舞ったり、単身者向けにカット野菜を販売したりと、各店が工夫を凝らし平日とは違った楽しみ方を提案する。
営業は8:00~13:00。次回は9月11日(日)に開催予定。
9月11日(日) 9:00~14:00
「おっちょこマルシェ」開催
若林区新寺の居酒屋「居酒いたし候 おっちょこ」が、日曜市に合わせて出張マルシェを開催。だし巻き卵や山芋の竜田揚げといった名物料理をテイクアウトで販売する。店主の阿部哲也さんは「コロナ禍でもみんなが元気になれる、にぎわいの場をつくりたい」と話す。このほか同地区のカフェ「クロミケ堂」が焼き菓子、美里町の地酒屋「齋林本店」が日本酒やクラフトビールを販売。齋林本店の河東田貴弘さんは「仙台朝市に人を呼び込む起爆剤になれれば」と意気込む。
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Photo by 田附絢也
(河北ウイークリーせんだい 2022年9月1日号掲載)