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もう一度食べたい! 仙台の高校生に愛されてきた名店の味 【特集】青春って密な味

左上から時計回りに総菜パンを並べる定進堂のショーケース、ガトーオバラの小原隆郎さ ん、恵美さん夫妻、江戸時代から続くおさんこ茶屋、大黒屋製菓の黒田昌稔さん

 青春の味はどんな味だろうか。現役の高校生も卒業生にとっても、昼休みや部活動の前後によく通った店があるはず。校内に食堂や購買部が設けられ、コンビニも増え、にぎやかだった「昭和」とは環境が大きく変わっている。でも「青春が密」なのは変わらない。懐かしい写真も交えつつ長年愛されている店を訪ねてみよう。

おさんこ茶屋の五色だんご/名物の味 仲間とシェア

名物の五色だんご

< 創業1780年ごろ>

 塩釜市のおさんこ茶屋は、塩釜高として統合する以前の男子のみの旧塩釜高、女子のみの旧塩釜女子高の時代からずっと高校生や卒業生に愛されてきた店だ。

 江戸時代の宮大工を起源とする旧家。塩釜神社に近いことから自宅の軒先で茶屋を始め、店を繁盛させた娘「さん」から名を取り、「おさんこ茶屋」と呼ばれるようになったらしい。

 つや姫やひとめぼれを組み合わせたうるち米を使った「五色だんご」(710円)が看板メニュー。しょうゆ、あんこ、くるみ、ごま、枝豆で作った「づんだ」が入っている。

 一皿を2~3人で分けたり、一皿全部を食べたりする高校生もいたという。串に刺していないので、取り分けやすい。組み合わせの変更にも応じている。

 鈴木保男さん(89)が引退し、雄三さん(56)、志津子さん(56)夫妻が営む。店舗は昭和の終わりに建て替えた後、今度は道路拡張に伴い、2000年に再び新しくした。志津子さんは「外観は当時と似ているので卒業生が見てもすぐに分かると思います」と言う。

 新型コロナウイルス下、現在は店内では食べられず、持ち帰りのみにしている。雄三さんは「店内でゆっくりしてもらえる日が待ち遠しい」と話す。

「久しぶりに来ました」と声をかけられるのがうれしいと話す鈴木さん夫妻
志津子さんの父保男さんが店を仕切っていた時期の店舗=1985年ごろ
建て替える前の店舗=2000年ごろ

塩釜市本町11-12
TEL022-362-0946
営/9:00~15:00
休/臨時休あり

定進堂のハムカツパン/ここ40年 値段据え置き

ハムカツパンをはじめ人気の総菜パン

<創業1894年>

 総菜パンやジュース、文房具を販売する。すぐ近くの仙台二高生はもちろん、1999年に泉区に移転するまで近くにあった仙台商高生にとっても昼の定番スポットだった。卒業記念のクラス写真の撮影場所として使われることも多いという。

 高橋光子さん(81)と娘の美恵さん(51)が交代で店に立つ。変わらずの一番人気が、ハムカツパン(150円)。ふんわりとした甘みのあるバンズにカツが挟んである。具はコロッケ、メンチカツ、白身魚フライといった揚げ物のほか、ハンバーグやカモロースなど30種類以上ある。消費税導入などにも負けず、ここ40年ほど価格を据え置いている。

 店の奥で作るパンは日々、ちょっとずつ変えて、十数種類を店頭に並べている。光子さんは「きょうは何があるかな、と楽しみにしてもらおうと思って作っている」と言う。「出来たてを食べてほしい」と、ケースの中になくても、店の奥で作って提供している。

仙台商高の移転後、建て替えた現店舗
淡々と仕事をこなして店の顔だった高橋武康さん(2002年逝去)、光子さん夫妻=1997年

仙台市青葉区川内大工町15
TEL022-222-9341
営/9:00~18:00
休/臨時休あり

ガトーオバラのマドレーヌ/生徒激励に先生も購入

二華の生徒にはおなじみのマドレーヌ

<創業1955年>

 店内から北東に仙台二華中・高の7階建ての校舎が望める場所にある洋菓子とパンの店。旧宮城二女高の頃から同校の関係者にはおなじみだ。

 小原隆郎さん(77)、恵美さん(73)夫妻と、息子の康宏さん(46)の3人で営む。

 今の定番は、マドレーヌ(150円)とミニクッキー(130円)。校内行事のたびに、生徒たちへの激励の意味で買っていく先生が何人もいるという。

 卒業生の思い出の味は年代によって異なるらしい。メロンパンに始まり、コッペパンに切れ目を入れてジャムやクリームを塗ったものも人気があった。隆郎さんは「今はもう作っていないけれど、40代や50代の人には、しめじパンが一番人気だったはずです」と振り返る。

 放課後は、部活動を終えた生徒たちが店内の小さな飲食スペースに集まり、パンやソフトクリームなどを買って食べていたという。店の前の道路拡張に伴い、1992年ごろ、店を建て替えた。その頃から生徒が立ち寄ることが減った。

 それでも、二華中・高の文化祭の際、出店したり、協力して仙台産野菜スイーツなどの商品を開発したりして、つながりが続いている。

ガラス張りで明るい外観の現店舗
建て替える前の店舗=1989年ごろ

仙台市若林区連坊小路128
TEL022-225-1591
営/8:00~19:00 
休/日曜

大黒屋製菓のがんづき/もちもちと程よい甘さ

黒糖味(右)と味噌味の2種類あるがんづき

<創業1952年>

 仙台一高生にとって欠かせない味が、「大黒屋製菓」のがんづきだ。「洋菓子とパンの店だけど、和菓子店の時代から看板はがんづきだね」と3代目の黒田昌稔さん(68)がほほ笑む。

 がんづきは、小麦粉と黒糖、水、重曹などが入った宮城県の郷土菓子。店では、年季の入った8段の蒸し器を使い、仕上げる。黒糖味と、仙台味噌を使った味噌味(各100円)の2種類がある。

  人気の秘密は、ふわふわでもちもちとした生地と程よい甘さ。いくらでも食べられそうだ。

 仙台一高では、運動部や文化部の壮行会などの際にがんづきが全校生徒に振る舞われ、なじみの味になっている。

 近くの瑞雲寺山門前で、祖父があめを作り、それを他にも卸売りしていたのが始まり。黒田さんが引き継いだ際、洋菓子とパンをメインにした。東日本大震災で店舗に被害が出て、2013年2月に建て直した。

 バタークリームとチョコレートを使い1960~70年代、全国的に流行した「たぬきケーキ」(350円)も懐かしい味を伝える。今の時期は、紅玉を使ったアップルパイ(600円)が特にお薦めだ。

 日々、挑戦を怠らない。最近は、食べるときに中身が飛び出さないよう注意が必要な「危険!クリームパン」(180円)も売り出している。

1950年代、開店間もない大黒屋製菓
自慢のがんづきを手にする黒田さん

仙台市若林区連坊2-1-1
TEL022-256-2211
営/9:30~18:00 
休/日曜、祝日

(河北ウイークリーせんだい 2022年11月10日号掲載)

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