被災者取材「映画に生きた」 ドキュメンタリー作家・松井さん、石巻で座談会
東京都のドキュメンタリー作家松井至さんと石巻市で活動する映像、彫刻作家らが16日、同市立町2丁目のライブハウス「ラ・ストラーダ」で座談会を開いた。同市在住の作家有志らでつくる「石巻アートプロジェクト」の活動の一環。松井さんの作品を鑑賞するなどして、感想を語り合った。
松井さんはNHKなどで番組を多数制作。今年は耳の聞こえない親を持つ、耳の聞こえる子どもたち「コーダ」のドキュメンタリー映画「私だけ聴(き)こえる」の監督を務めた。
2015年に番組制作で被災地を訪れたといい「東北のろう者から被災経験を取材した。状況の把握に時間がかかりつらかったこと、聴者よりも限られた情報しかなかったなど、東京では知り得なかったことを理解できたことで、その後の制作に生きた」と語った。
座談会には石巻市中央2丁目のアートスペース「キワマリ荘」の彫刻家ちばふみ枝さんらが参加。松井さんは12~19日、石巻に滞在、ちばさんのドキュメンタリー映像を制作し、座談会で上映した。
渡波にあった家が被災し、現在はアトリエとしても活用するちばさんは「映像を一緒に作る中で、今後のアトリエの在り方なども話せた。生活している中で自分が作品になる機会はないのでいい経験になった」と話した。