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跳ねる 石巻地方から(2)自分の船持ち夢膨らむ 冨樫翔さん

県漁協雄勝湾支所准組合員 冨樫翔さん(22)

自身の船を持つなど漁業者としてステップアップする冨樫さん

 石巻市と一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ)が2015年から展開する「水産業担い手センター事業」を利用し、県内外の若者が新規漁業者になるべく各浜で奮闘している。19年に山形県から同市雄勝町に移住した冨樫翔さん(22)もその一人。昨年、県漁協雄勝湾支所の准組合員になった。「携われる仕事が増えた。漁業のかっこよさを多くの人に伝えたい」と意欲を見せる。

 夜明け前の雄勝湾に、漁船のエンジン音が響く。従業員として働く「大洋丸水産」の仕事はホタテや銀ザケ、カキなどの養殖に、小型定置網漁と幅広い。「覚えることは多いが、毎日が刺激的。親方や兄弟子らの動きを参考に技術を習得している」と充実した日々を過ごす。

 水産業に興味を持ったのは5年前。大洋丸水産でホタテの稚貝を海につるす作業の手伝いを経験した。その後、同社から成長したホタテが届き「こんなに大きく育つのかと感動した。生き物と触れ合う感覚が好き。種から成長させる過程を自分で手がけたくなった」と進む道を決めた。

 移住後、兄弟子の三浦大輝さん(26)=大阪市出身=と共にFJが展開する漁師育成の企画に参加し、知識の幅を広げている。

 三浦さんは会社の仕事以外に自らカキを養殖、市内の水産加工会社の商品に使用されるなど順調に歩みを進める。冨樫さんも「目標とする存在。いつか超えてみせる」と闘志を燃やす。

 養殖業の手伝いから3年が経過した昨秋、これまでの努力が認められ、自らの船を持ち、小規模の漁が可能になる「准組合員」の資格を取得。「仲間の力になりたい」と、他の浜にいる漁師らが使わなくなった小型船と、エンジンをプレゼントしてくれたという。

 12月上旬にあった進水式にも多くの関係者が集まり、祝福を受けた。「刺し網やカゴを使った漁ができる。アナゴやタコなどを取りたいし、学んだことを生かして養殖もやってみたい」と夢は膨らむ。

 次の目標は正組合員。達成に向け、雄勝の海と共に前へ進む。

 (大谷佳祐)

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