閉じる

<生島淳のスポーツの扉(2)>駅伝で活躍の東北勢 強化の「プラットフォーム」しっかり

 都道府県対抗男子駅伝が終わり、駅伝シーズンも一段落。今年は東北にゆかりのある選手の活躍が目立った。

 新春恒例、箱根駅伝の2区は中継所手前まで大激戦となり、駒大の田沢廉(青森山田高出)と中大の吉居大和(仙台育英高出)が名勝負を演じ、吉居が先着して区間賞。

 都道府県対抗駅伝では中学生区間の6区で増子陽太(福島・鏡石中)が区間賞を獲得、増子は昨夏に3000メートルの中学新記録を塗り替えており、将来が楽しみな存在だ。

 東北勢の台頭は、なぜ起きているのか。私は強化の「プラットフォーム」がしっかりしているからだと考える。

 いくしま・じゅん 早大卒。広告会社勤務を経て1999年に独立。米大リーグ、陸上、ラグビーなど幅広い分野に精通する。著書に「エディー・ジョーンズとの対話」「箱根駅伝」「気仙沼に消えた姉を追って」など。気仙沼市出身、55歳。

全国の有望選手が仙台育英高に

 宮城県でいえば、それは仙台育英高だ。最近では2019年に全国高校駅伝で吉居を擁して優勝を飾ったが、吉居の出身地は愛知県。なぜ、東海地区の名門校ではなく仙台育英高を選んだかというと、「練習を見学に行ったら、雰囲気とかが自分に合っていると思ったので」と吉居は振り返る。つまり、全国から有望な選手が指導を仰ぐべくやってくるのだ。

 それは男子だけではなく、女子にも当てはまる。仙台育英高の卒業生で、名城大で活躍する米沢奈々香は浜松市の出身である。

 つまり、仙台育英高という育成のプラットフォームが機能することで、宮城にゆかりのある選手が生まれ、さまざまな駅伝で活躍するようになっているわけだ。

2019年の全国高校駅伝で優勝に貢献する力走を見せた吉居大和(左)

ふくしま駅伝出身の「山の神」柏原竜二さん

 プラットフォームといえば、毎年11月に開催されている「ふくしま駅伝」も重要な役割を果たしてきた。1995年のふくしま国体の開催に向け、中・長距離選手の強化を目的として89年に始まったこの大会は、市町村対抗で開催されてきた。

 この駅伝の出身者で、もっとも名をはせたのは箱根駅伝で「山の神」の異名をとった柏原竜二さん(福島・いわき総合高-東洋大出)だろう。小学校時代はソフトボールをプレーしていたが、中学から陸上へと転身。ふくしま駅伝でも活躍し、その道は箱根の山上りへとつながっていった。

 ふくしま駅伝の役割で重要なのは、中学生区間で陸上部だけでなく、持久力自慢の他の部活生が活躍する機会を得たことだ。自らの長距離の能力に気づき、高校では陸上部を選び、関東の大学に進学した選手がたくさん生まれてきた。

人材の供給源、未来のオリンピックへ

 市町村対抗駅伝というプラットフォームは今では各地で広がり、特に千葉、静岡では才能の発掘に寄与している。実はこの両県、箱根駅伝出場選手の出身県で、毎年のように一、二を争っている。

 一方、今年の都道府県対抗男子駅伝では、九州勢の入賞がゼロだったことも話題になった。その要因として考えられるのは、高校で団塊世代の指導者が定年を迎え、代替わりが進んでいることだ。有力校にも変化が見られ、現在は過渡期といえる。

 いま、東北6県は人材の供給源となった。強固なプラットフォームが、未来のオリンピックへとつながる時代は、すぐそこまで来ている。

「山の神」柏原さん

関連リンク

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

最新写真特集

ライブカメラ